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12バンジー

「これでモンスターに怯えずにすむわ。当面はこの町で生活しましょう」


「そうだな。転生させる場所もいい塩梅で決められてて感心してるところだ……おい、ちょっと待て!!」


「ひっ……急に大声出さないでよ。ビックリするじゃない」


「いいから一回止まれ。このまま町に入っていくのはまずい。メリア、お前の顔は信じれないくらい腫れあがってるんだぞ。絶対に途中で止められるって」


 町に入る前に思い出せて本当によかった。ずっと腫れあがった顔を見ているせいで違和感なくなってたけど、メリアの顔は初めて見る人から見たら驚愕するレベルになってるからな。

 このまま町に入って行ってもし門番なんていたら俺は何て言い訳すればいいんだよ。モンスターに襲われましたって言うか? いや、こんな顔面だけピンポイントで怪我を負うなんてありえないだろ。そうなると、生まれつきこの顔なんですって言うか? 無理に決まってるよな。


「すっごい痛いのよ。それを我慢してるだけでも大変なのに困るわよ。でもしょうがないじゃない。ダイゴロウが殴ったんだからこれに限っては私はまったく悪く無いわ」


「いやまあそうなんだけどさ。なにか顔を隠すようなものは持ってないのか? マスクとかあれば少しは誤魔化せそうなんだけどさ。それかヘルメットとか」


「私は身に着けている服以外は何も持ってないわ。私物なんて何も持ってないわよ。それにヘルメット何てどこに持ってると思うの?」


 そりゃそうだよな。転生させる場所にいろいろ持ち込んでるほうがおかしいしな。


 でもそうなると、メリアの顔をこのままにして町に入っていくしかないってことか? 無理があるだろ。顔面腫れあがった女の子が入ってきたらいくら俺でも声くらいかけるぞ。


「唯一あるとしたらこの服についてるフードくらいかしら。被って見るけどどう? 少しは隠せてる?」


 フード付きの服を着てたのかよ。今まで気が付かなかったわ。


 メリアはフードを被ってこっちを見てくるが、普通に顔がぱんぱんなのがバレバレだ。俺たちに残されたのはこのフードだけだし、これで何とか頑張るしかないよな。フードを被って下を向いていたら流石にわからないだろう。それで行こうか。


「メリアはもうずっとフードを被ったまま下を向いててくれ。俺の足音を頼りに後ろをついてくれば何とかなるだろ。誰かに声をかけられたら極度の人見知りとか行って誤魔化してやるからさ」


「もうどうでもいいわ。何とかなるならダイゴロウに任せるわ。でも、無駄に騒ぎにならないようにしてよね」


「わかってるって。俺が先生に怒られた時にどれだけ言い訳をしてきたと思ってるんだよ。ここら辺の人を誤魔化すなんて大した手間でもないさ」


 とりあえず、メリアにはフードを被って下を向いてもらう作戦で町を目指す。

 この作戦の肝はメリアの不審者感をどう誤魔化すかだ。さっき言った極度の人見知りって言い訳で大抵は何とかなると思っているが、もし想定外の事態に陥った場合は機転で何とかしないといけないんだよな。




「おいおい、マジで門番が立ってるじゃないか。おい、メリア気合い入れろよ。絶対にここを突破して町に入るからな」


「私は前を見れないんだからわからないわよ。何を言われても顔を上げないからダイゴロウが何とかしなさいよね」


 何かの拍子にメリアが顔を上げて終了みたいなことはなさそうで一安心だ。そんな間抜けなことは俺としても勘弁願いたいからな。何が起きても下を向いたままでいてくれるっていうのはありがたい。


「それじゃあ、門へいくぞ。俺について来い」


「ええ。そっちね」


 下を向いているメリアは自分の足しか見えていないだろうから、俺もそれに合わせて少し歩くペースを落としている。それでも、もうすぐ門へ到達してしまう。町に入れるのはもちろん喜ばしいことなんだが、ここを突破するというミッションを考えると素直に喜んでもいられないんだよな。


「こんにちわ。今日もお勤めご苦労様です」


「こんにちわ。あれ? 見ない顔だけど、この町に来るのはもしかして初めてかい? それに、一緒にいる子はどうしたんだい?」


「そうなんですよ。結構遠くから歩いて来たんでクタクタで……やっと町を見つけて当面はここを拠点にしようかと思ってます」


 早くもメリアが目についてしまったようだな。自然に会話の話題をすり替える作戦を使う。


 門番のお兄さんは一人なので、この人さえ突破できてしまえば町へ入れる。


「歩いて移動してきたのかい? 見かけによらず体力があるんだね。そりゃ疲れただろう。ベルレルの町でゆっくりしていくといい」


「ありがとうございます。それじゃあ、中へ入っても大丈夫ですか?」


「おっと、初めて町へ入る人には身分証を提示してもらわないといけないんだ。一応決まりだからね、ちょっと見せてもらえるかな」


 身分証? なんだそれ? 絶対持ってないんだけど……。


 予想していたものとは違う問いかけに一瞬志向が停止してしまう。

 メリアの方を見て見るが、下を向いたままなので何を考えているのかまったくわからない。

 まずいぞ。一体どうすればいいんだ?

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