11バンジー
森の中を歩き回り、俺たちは何とかモンスターに出くわすことなく道を発見することができた。
無駄に時間をかけてしまったが、見つかったので一安心だ。これで、町につくまでは目処が付きそうだな。
それにしてもモンスターに出くわさなかったのはでかいな。今の俺にモンスターを倒すほどの力があるのかはまだ不明だしな。
「やったわ。この道は私が見つけたのよ。つまり私の手柄。どう? 私は役に立つでしょ?」
一緒に歩いてるんだからどっちが先に見つけたとかはない気がするんだが……反論してまたしおらしくなられても面倒だし、褒めておいたほうがいいのか?
「助かった。マジでありがとう。メリアがいなかったらこの道を見つけるのにもっと時間がかかっていたはずだ。本当によくやってくれた」
「そうでしょ? 私が本気を出せばこの通りよ。だから、私を置いて行こうなんて絶対にしないでよね」
少しでも捨てて行かれる可能性を消すためにこんな自分が有用アピールをしてるのかよ。見てて哀れになってくるからやめてほしいな。同情心を煽って来る作戦はずるいだろ。
「そんなことするつもりないからいらない心配はするなよ。ずっと気を使ってたら疲れるだろ。俺とメリアの因縁はさっき全部チャラになったんだからな」
毎回毎回、この調子でアピールされるのは面倒なので、再度釘を指しておく。
「そうよね。私も今まで死とは無縁の世界で生きてたからまだ怖くて……気を付けるわ」
今、見つけた道は綺麗に整備されていて、雑草なんかも生えていないので、人の通りがあるみたいだ。せっかく見つけた道が誰も通っている痕跡がないような放棄された道だったら悲しいしな。それよりもメリアがまたなんか言い出しそうだわ。
「さあて、この道をどっちに進んだら町は近いだろうか。メリアはどっちだと思う?」
「え? そうねぇ……わからないわ。でも私はこっちのほうが近い気がするわね。ただの勘だけど」
何の根拠もない勘だがメリアはこれでも一応女神だ。神様パワーみたいな力が無意識化で働いている可能性は捨てきれない。ここはメリアのいう通りにしておいてほうがいいかもしれないな。
「じゃあ、メリアの勘を信じて右に行くとするか勘でも役に立つところを見せてくれよ」
「うぅ、わかったわ。でも、こっちの道の方が遠かったからって私に責任を押し付けないでよ」
「しねぇよ。俺がメリアの勘を信じるって決めたんだからな。メリアのせいにするのはおかしいだろ」
「だったら大丈夫よ。こっちに行きましょうか」
まだ、不安は消えてないみたいだな。女神なんて本当に死ぬことなんてありえない存在だったんだろうな。それが、この世界に来て力を失ってるんだ。モンスターに襲われたら死んでしまうかもしれない、そんな状況で気を張るなっていうのは無理な相談だよな。
俺たちはメリアが指さした通り右に向かって進んでいくことにした。
頼む。こっちのほうが町が近くであってくれ。
少し認めたくない気持ちもあるが、メリアの勘が冴えわたっていたことが証明されてしまった。
ほどなくして、森を抜けた俺たちの前に外周を高い壁に囲まれた町が見えてきた。
モンスターから町を守るために周囲を外壁で覆っているんだろうな。勝手な予想だが、あっているとすれば、このあたりにもモンスターは出現するということになる。それに、森なんてモンスターが生息してそうな場所の代表みたいな場所だよな。そこで、一匹もモンスターに出くわさなかったのは結構ラッキーなんじゃないだろうか? これもメリアの女神パワーのおかげだったりしてな。いや、考えすぎか。
「町が見えたわよ!! 今回も私のお手柄よね? フフッ、私の勘は結構当たるんだから」
「そんなに騒がなくても俺にも見えてるから。流石は女神様だな。力を失っても加護のようなものが働いてるのかもしれないな」
「かもしれないわね。モンスターにも遭遇しないし、ちょっとうまく行き過ぎてる気がするのよね」
確かにメリアのいう通りだな。うまく言っていること自体はすごく喜ばしいことなんだが、あまりにも運がいいというか……。本当はこの世界にはモンスター何て存在していないんじゃないかと疑ってしまうな。
「とりあえず行ってみましょう。外をうろついてたらモンスターと出会う可能性は捨てきれないわ。早く中へ入りましょう」
「そうだな。ここまで遭遇しなかったからって今からも大丈夫とは限らないもんな。こんな町が見える距離まで来てモンスターに襲われるのは勘弁願いたい」
森を抜けて、平原に出ているが、ここにモンスターがいないかどうかはわからない。
視界を遮るものが少ないので森の中を歩いていた時よりかは大分気が楽だが、それでもいつモンスターに襲われるかは、この世界に来たばかりの俺たちにはわからないもんな。
「希望が見えてから落とされるのは今の私には耐えきれないわ。急ぎましょう」
俺たちは少しでも早く町へ向かうために今まで普通に歩いていたのを早歩きにペースアップして町を目指した。




