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1出会い

始めまして、日下真佑と申します。

新しい連載開始です。

今度は美しい二人の、スクールラブから始まる、真実の愛の物語です。

どうぞお楽しみください!

 彼氏や彼女って、何なんだろう?

いつしか周囲の友達やクラスメイトは、誰と付き合ったとか、何人目の彼女だとか、そんな話題で持ち切りだ。

週明けともなると、土日にデートに行った話や、彼女と喧嘩した話をしてくるやつばかりで、他人事だから面白いけれど、ユウは正直辟易していた。

付き合う人って、そんな軽い気持ちで決めていいものじゃない、と昔から何となく思っていた。

だからと言って、決して堅い人間でも、クソ真面目な人間でもない。

どちらかというと要領のいいタイプで、勉強も運動も程ほどに頑張って、お洒落や趣味を楽しんできた。皆より少し高い身長に、細すぎない均整の取れたスタイル、派手過ぎない整った品の良い顔立ちは、髪を整えてシックな色合いのお洒落をするとぱっとスポットライトを浴びたように映える。

思春期くらいから、そんな自分の周囲には、いつしか女の子達がたくさん寄って来るようになっていた。

かっこいいのに、勿体ないよな、と同性の同級生からも言われ続けてきた。

お前なら、寄って来る女の子の中から、選びたい放題だろう?と。

でも、それは絶対に嫌だった。

寄って来る女の子達は、ユウにとって、寄って来る同性の男と何ら変わりない。ただのクラスメイトだったり、友人に過ぎない。

自分が付き合うひとは、心から惹かれて、大切だと思える人。

他のやつらみたいに、欲や見栄や雰囲気に呑まれて、自分を安売りはしない。

こんなことを口にすれば、それはお前がかっこいいから言えることだと、軽蔑されるだろう。でも、ユウにとって、これだけはどうしても譲れなかった。

いつ出会うか分からない、そんな素敵な誰か。

その人に出会った時、真っ直ぐ向き合える納得のいく自分でいるために、今日も早起きして髪型を整えた。


 高校の部活動は、入るならバレー部と決めていた。

理由は、中学の時にやっていたから。本当はあまり部活動をする気はなかったけれど、入学式の日に仲良くなったトオルにしつこく誘われて、渋々入部することを決めた。

本当は帰宅部でも良かったんだけどなぁ。というのがユウの本音だった。

帰宅部で、学校に内緒でバイトをして、好きな服を買う。これも楽しそうだよな、とこっそり思っていた。が、仲良くなったトオルは、それを頑として許してくれなかった。どうやら彼は中学の時にバレー部のキャプテンで、自ら率いた部が県大会でベスト8になったらしい。高校でもバレーをして、勉強も運動も頑張る充実した学生生活を過ごすのだと息巻いている。

 が、しつこくトオルに誘われて、仕方なく入部届を出したものの、いざやってみると、まあまあだった。先輩も優しいし、練習もそこまできつくないし、これなら続けてもいいかな、と思っていた。

 そんなある日、ふと隣のコートに珍しく現れた女子バレー部のマネージャーにどきっとする。

長い髪を耳にかけて、黙々とコートの端で部員の書類を書く姿に、ユウは思わず息を呑んだ。

皆の態度からすると三年生で間違いない。細すぎないすらっとしたスタイルに、形の良い顔。整った目鼻立ちが印象的な、何とも魅力的な美人だ。鎖骨にかかるくらいの長さの髪はきちんと手入れがされていて、ほんのり色でも入れているのか、光に当たるとうっすらこげ茶色に見える。

何て名前なんだろう?

練習をするふりをしながら、その日はずっとその先輩を目で追い耳をそばだてた。

どうやら名前はリエさんと言うらしい。三年四組で、明るくてさっぱりした女性のようだった。女子バレー部が体育館に来るのは、毎週月、水、金曜日。毎日のように意識していると、その中でリエさんが来るのは、水曜と金曜日だとすぐに分かった。

 ある日の放課後、部活の終わりを待って、勇気を出して声をかけてみた。

幸い皆と家の方向が違うらしく、校門を出るとリエは一人になった。

「お疲れ様です。今日の怪我した人、大丈夫でしたか?」

校門で声をかけられて、リエはびっくりしたのか目を見開く。

「あれ?確か、男子バレー部の一年生の…」

「はい、森ユウって言います。突然声かけてすみません。先輩があまり手際よく手当するから、凄いな、と思って」

少し緊張しながら、それでもあくまで平静を装って口を開くと、リエは屈託の無い笑顔をユウに向けた。

「ありがとう。本当は私も先輩の見様見真似で覚えただけだよ。森くん、いつもバレーしてるのかっこいいな、って実はちょっと気になってた。運動神経いいんでしょう?上手だよね?」

「いえ、そんなことないです。俺は友達のおまけで入っているみたいなもんだから」

「友達って、あの子?いつも一生懸命ムキになって練習している体のちょっと大きい…」

「はい、あいつです」

と返事をして、ユウはよしっと思った。トオル(あいつ)にはわるいけど、ちょっとネタにさせてもらおうと決める。

するとリエは今日のトオルが余程面白かったらしく、ぷぷっと噴き出した。

「あの子、今日ネットに思い切りぶち当たってたね。大丈夫だった?」

トオルが先輩との練習試合でムキになって、ネットに思い切り当たって跳ね返って仰向けに転んだのを、ばっちり見ていたらしい。

あの時、体育館中にどっと笑いが起きて、トオルはばつが悪かったらしく、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして立ち上がっていたな。

あくまでけなさないように、細心の注意を払いながら、トオルをネタに面白おかしく会話をすると、二人はあっという間に意気投合し、それから毎日のように会うようになった。

それは最初は部活終わりが殆どだったが、次第にお昼休みに三年の廊下で会うようにもなった。

お弁当を食べた後、トオルを連れておそるおそる三年の廊下へ行くと、皆に冷やかされながら照れくさそうにリエは出て来てくれた。学校の帰りに市街地の商店街に出かけて、一緒に買い物をしたり、休日にはカフェでお茶をして、何時間も楽しい時間を過ごした。厳しい校則をかいくぐるようにして、二人で様々なお洒落を楽しんでは、一緒に生活指導室に呼ばれたこともあった。

 夏休みを数日に控えたある日、ユウはついに勇気を出して告白した。リエは受験生だから、ぼちぼち勉強の邪魔にならないように付き合えばいいと思っていた。が、リエの口から出た返事は意外なものだった。

「ごめんね。私これでも受験生だから。それにユウくんはいつも女の子に囲まれているでしょう?そういう子と本気で付き合うのは、ちょっとね」

頭が真っ白になるとは、こういうことだと思い知る。

ユウはくらくらする頭を必死で立て直して、リエを見た。ちょっぴり寂しそうに手を振りながら教室へ戻るリエに、言い知れぬ悲しみともどかしさを必死で隠して、ユウはいつもの微笑みを浮かべた。









 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします!

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