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私と秘めた思いの物語  作者: ふるたく
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最後の幸せの時

婚姻の儀の終わり、私が牛車に乗り、隣国へ行こうとしていた。


前方に門が見える。


この門を越えれば、私はこの国には二度と帰って来れないだろう。


その門は今までの私とこれからの私の境界のよう。


私「、、、、、、、、」



私はこの国の景色を瞼に焼き付けようとして


牛車の窓から外を眺める。



私「、、、、、、、、、、」



ガラガラガラガラ



牛車はゆっくりと歩く



門に向かって



ガラガラガラガラ



と。



その時、門の前にいる近衛兵と目が合った。



、、、、それは、リオウだった。




私「、、、、、、、、、、」



いつもならば直ぐに目線を外す。


しかし今回だけは、もう最後なのだから、と


私は目線を外さず、その目を、じっと、見続ける事にした。



視線が、合う。



互いに、じっと見つめている。



彼は、真っ直ぐ私を見ている。



私も、、、、彼を見ている。



それは最後の幸せの時。



彼の瞳は汚れを知らぬ少年の様で



幼き頃と何も変わっていない。



私と一緒に遊んだ、あの頃と、、、



何も、、、、、、





私は、何か、込み上げて来るものがあった。


秘めていた思いが体の底から溢れ出て来る


彼と別れるなんて嫌だった。


もっと彼のそばにいたい。


もっと彼と話をしたい。


もっと彼を感じたい。


もっと、彼を、、、彼と、、、、


一緒にいたい、、、、、、



涙は止まる事を知らない。



私の乾きを癒すように涙はポロポロと流れ続ける。



--------------------------------------------------------


もう、何度も何度も何度も何度も考えた事だ。考え抜いた事。


婚約を受けるしかない。


だってこの国は強い国では無い。この同盟が破棄されれば、この国の未来はどうなるのか分からない。


兄が必死になって取り付けた同盟。


私が「嫌」などと言えるはずもない。


私が隣国の王子と結婚することでこの国は守られる。


それはこの国の国民の命を守るということ。


国民の命と、私の願いと、天秤に掛けたら、


どちらを取るかなんて火を見るより明らかだ。



ならば、私は、



私のするべき事は。



私は、彼から目線を外し、



そっと、目線を、



下に、



下ろし、、



そして、



門の向こうを



しっかりと、



見据える



見据え、、、、



見据えようとした、





その時。



ふと、思い出した。



彼が言っていたこと。



リオウが言っていたこと。



それは、、、、


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