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エピローグ

 話は思わぬ方へと進み、私はバトリン学園の初等部に入学が決まった。

 3年後、中等部はデュネーン総合学術校へ通うとの事だが、開校は確実なものではないと言う。


 メアリーは私とティファがファストーロへ留学中、侍女の資格を取るべくロンド学術校の高等部へ通い、弟子たちの指導に専念、メイドとしての仕事はミランに任せる事になった。


 ティファがデュネーンに旅立ち1週間、遂に私のこの地をさろうとしていた……。


 「やはり父上はこれませんでしたか」


 ジル兄様はウェズリット学園を次席で卒業し、ロンフェローの騎士として迎えられ、夢である母様以上の騎士になるべくスタートをきった。

 今日は、私の見送りの為に非番としてもらったのだとか、入団早々、私事で休みを取るとは……。


 「ええ、何でも仕事で遠くへ出ているみたいね」


 母様は日頃の任務をそつなくこなし、魔物大進行(スタンピード)の活躍が認められ、今年より三等級から二等級騎士へと昇格、この国で二等級騎士となった女性は初なのだとか、かなりのお偉いさんだ。


 父様は、どこか遠くに仕事に出ていて私の旅立ちには立ち会う事が出来なかった。

 どこか遠くとは言っているが、きっと母様は知っているのだろう、表情から安全ではない場所と言う事だけはわかった。


 「リラ様、くれぐれもお身体にはお気をつけて下さい」


 「長期のお休みには戻って来てくださいね」


 アランとミランは本格的に使用人としての仕事をはじめていた。


 「リラお嬢様、わかっておりますよね? これから向かわれる所は他国、陛下もおっしゃっておりましたが、自重なさって下さい、いいですか? 自重、自重ですよ」


 ルークは相変わらず小うるさい、まあメアリーの事で、からかってやるとすぐ表情が緩む、相変わらず可愛いヤツでもある。


 「リラ様、私、覚悟を決めました! リラ様が戻って来るまで逆天・無双流は任せて下さい!

 ティファ様との約束もありますし、私、頑張ります!」


 《注:契約可能、対象者メアリー・キャスマン。

 精霊を与えますか? はい / いいえ》


 ——ん? キャスマン?!


 ティファとの約束は何だかわからないが、メアリーは覚悟を決め、国の重鎮たちを指導する事を決断した事により精霊に認められた?様だ。

 


 

 そして……、旅立ちの時。




 「母様! 行って参ります! みんな元気でね!」


 私は最新鋭の竜車に乗り込み、みんなに手を振る。

 それを引くは国王より賜った走竜、ゴルドミムス種、エリート血統の名竜。


 竜車は静かに走り出し、王都を抜けると加速した。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 闇夜に輝く満月。

 デア大陸、ヴァナハーデン領、ベンゼリン・フォン・ローゼンマルク公爵の屋敷では、ある儀式が始まろうとしていた。

 

 「はい父上、準備、滞りなく」


 「そうか、術者はどうなっておる」


 「はい、我が国精鋭術者が20名、更に聖教からも派遣され、定数を大きく上回っております。

 それと、マフィラ・トスコル・ジャプール教皇陛下、加えて聖女カトリーヌ・ド・メッサリーナ様も参られるとか」


 「何?! マフィラ教皇が?! フフフッ、遂に我が時代が、では確認せねばならんな」



 ベンゼリンがとある部屋に入ると床一面に複雑な魔法陣が描かれ、中央には僅かに光をおびている大きなクリスタルが祭壇の上に祀るかのな様に置かれていた。


 「ドルゲン順調か」


 「はっ! 後は満月が最も高く登る日跨ぎの時を待つばかりでございます」


 ベンゼリンは時の経つのが遅く感じた。

 数年前より準備を進めて来た異世界召喚、無理もなかった。


 異世界召喚とは文字通り異世界より不特定の人物を召喚する儀式。

 この世界では異世界召喚の記す書籍が複数発見されている。

 誠であるかはさておき大きく分けて3種の異世界召喚がある事がわかっている。


 1つは神による召喚。


 1つは世界の意志による召喚。


 そして最後の1つがベンゼリンたちが行おうとしている人族による召喚だった。


 場所は変わり、教皇を迎える為に用意された部屋で進まぬ時間を苛立ち待っていたベンゼリンの元に教皇が到着する。


 「おお、マフィラ教皇、よくぞ参られた」


 マフィラ教皇一向を迎え客間へと案内するベンゼリン、その部屋へ通されるなりマフィラ教皇が口を開いた。


 「うむ、其方も息災であったかベンゼリン、今回の儀式、我が聖教、教皇派でも全力で支援する事となった」


 教皇派と言う言葉にベンゼリンは当たり前の様に察っする。


 「では、女神派が……」


 「そうじゃ、良いタイミングでベルゼードが死んでくれたのだがな、パパマンズ枢機卿が気付きよった、最近のヤツは何やらきな臭い、女神派も動くであろうのう。

 ベンゼリン、お主には早う発起してもらわねばならん、さすれば、我が聖教は其方と共に歩もう」


 「それは願ってもない事だ、しかし、我々もただで危ない橋は渡れないぞ?」


 「わかっておるわ、其方が実権を握った暁には、聖杯を交わし、主教国皇帝の座を約束しよう」

 

 2人は不敵な笑みを浮かべる。


 程なく、バルドスがその部屋を訪れ待ちに待った召喚開始を告げられ、魔法陣の部屋へと足速に向かった。

 部屋に入ると熱気にも近い、夥しいマナの息吹を感じる。

 そこには多くの術者、苦しそうな表情を浮かべ、その者たちのマナは中央に祀られている光るクリスタルへと渦を巻き飲み込まれていた。


 「おお! 聖石のカケラに光が!」


 光るクリスタル、聖石のカケラは徐々にその光を強く輝かせ、遂には光が弾ける。

 辺りに広がる光、そこは異様な空間の様に思えた。


 神々しい光を前に、聖教の術者たちは跪き、祈りを捧げる、それを見習い他の術者たちも……。

 それに習い、ベンゼリン、教皇をも跪き祈りを捧げる。



 そして……1つの人影が宙に現れた。



 《我は魔王、世界を総べる者だ》



 何者かのその声に一同、言葉を失い……、姿を確認する暇もなく、その影は消えた。

 光が薄まり視界が回復するも影の主は見つかる事はなかった。


 更に不思議だったのがどの様に消えたのすらわからなかった、窓もなく、部屋が破壊された跡もない。

 唯一の出入り口の前にはベンゼリンと教皇、更に外に待機させてあった傭兵すらもその者を見てはいなかった。



 「わ、我々は何を召喚してしまったのだ……」



 その場にいた者たちは何とも言えぬ恐怖を感じた。

 

 

 

 


 読んで頂きありがとうございます。


 とりあえず『指輪の書』は完結となります。


 読んでくださりありがとうございます。


 続編プロットは出来ていますが本編は……、投稿日は未定ですが、出来るだけ早く投稿出来たらと思っています。

 

 多くの皆様に読んで頂ける様、精進して参ります、応援宜しくお願いします。

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