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2話〜初動捜査〜


外に出るとちょうど鑑識官と救急隊員が現場へ到着していた。

素早く救急隊員へ被害者の息が無く即死である事を告げ、鑑識待ちになるであろう事と司法解剖に回るであろう事を説明した。

その後、鑑識官へ現場に遠山さんが入っており。遠山さんから直ぐに初動捜査に向かうよう指示があり、現場の状況確認は遠山さんにお願いする事を伝えた。


……

「さてと、先ずは通報して来た人からの聞き込みと犯人の足取りから始めますか。」


携帯電話を取り出し本部へと電話した。


「プルル…ッ、プルルル…ッ」


「はい、コチラ西新宿署捜査一課」


「あっ、神碕さん?北條です。直ぐ聞き込みに入りたいと思いますので、通報者の連絡先をお願いします。」


「北條君?何時もながら山さんの初動捜査早いわね…上は捜査命令も発令もまだなのに勝手に捜査を始めると、何時も良い顔してないわよ…」


「初動捜査第一、現場第一主義ですから…」

「山さんも何時もの口癖で『現場の証拠は現場にしか落ちていない、そしてその証拠は時間と共に劣化して行くんだ!上はそれがわかっておらん!』って言ってますし…」


「ふ〜っ…わかりました。ちょっと待ってね。」



「………良い?『×××−××××−××××』です。」


「ありがとうございます。」

「あ!真琴さん今度デートして下さいよ〜」


「ハイハイ、自分の力で事件解決出来たらね。」


「了解です!では事件は“初動捜査”が第一ですから、聞き込みに入ります。」

神碕 真琴さん僕より二つ上の独身。ショートのボブで何時も眼鏡をかけているがダテである。本人いわく『らしく見えるでしょ』何て言っているが僕を含め皆からは歳を過ぎた眼鏡っ子。某漫画ミニスカ警察に出てきそうな童顔の同僚である。彼氏もいないとの噂なので何時もデートにお誘いするのだかまだ一回も叶えられてない。

拘わった事件は大概にして山さんの捜査での事件解決で僕は何の役にも経ってないのが実情だ。




「あ!石橋ふみ子さんのお宅でしょうか?私、西新宿署の北條と申しますが、通報時の状況を確認したいので今から伺って宜しいでしょうか?」


「…はい…わかりました…」


私は同じワンルームマンションの同階にある現場の部屋の二つ横になる石橋さんの部屋を目指した。


「しかし…女性向けのワンルーム、室内灯の付き具合からして夕飯時に疎らにしかいない、多分場所柄のせいか、このマンションに住む女性は“夜のお仕事”の人が多い事を物語っているように感じる。オートロック式でぼちぼち近隣の野次馬が集まって来ているが、中の住人は全く表に出て来ない。

どうやら現場の両隣も不在らしい。中には山さんと鑑識官、救急隊員が入ってるのだろうが私は石橋さんの部屋をノックした。


「あ!先程お電話した北條ですが。」


「…はい……どうぞ…」


物々しい雰囲気に気付き事件が不幸な事になってしまった事を肌で感じている彼女はおどおどしながら震えていた。


「大丈夫ですよ。今は警察も集まってますし、安心して下さい。」

何時も辺り前の日常に突然

「キャー!」と言う悲鳴が聞こえて警察が来て物々しい雰囲気に変わったのだ、不安になるのも無理はない。

しかし状況を聞き取りしなければ先には進まないので詳しい話を聞き出してみる事にした。


「石橋さんわかる範囲で構いませんので数点お話をお聞きします。」


「…はい。」


「えー先ず異変に気付かれたのはいつ頃ですか?」

「はい…7時を回った頃だったと思います。突然『キャー』と言う悲鳴が聞こえて…『ドサッ』と人が倒れる音がしました…鮮明に聞こえて来ましたので直ぐ近くの部屋だろうと思い、110番を回しました。電話の時間表示から7時13分だったと思います。」


成る程、通報時刻から犯行は逃走して間もない時間という事になるな。


「その後何かありませんでしたか?」


「…はい……部屋の外に出る勇気は出ませんでしたので聞き耳を立てて様子を伺いました。」

「外でバタンとドアが閉まる音がして走り去る音から非常口へ向かっているんだと思いました。」


「他に気付いた点はないですか?」


「わかるのはそれ位です。後は不安で不安でたまりませんでしたから…」


「わかりました、捜査のご協力ありがとうございます。」


「あのう〜それでその方は……」


多分近隣と事で不安なのでろう、小さい声で聞いて来た。


「すみません、まだ捜査段階なので詳しい話はコチラから出来ないんですよ。」

私は新聞記事、ニュース等で明日になればわかる事だが、今この状況で石橋さんに不安を与えてはいけないと判断し亡くなっていた事は伏せた。

「では、また思い出した事がありましたらご連絡下さい。」


石橋さんの部屋を後にし、非常口へ向かった…

一階には内側からしか開ける事の出来ないドアがあったがその横の細い路地へでる塀は低く、私も手をついて一度路地へ越えてみた。大人であれば女性でも越える事の出来る高さである事を確認した。


得てして“オートロック、防犯システム完備、防犯カメラ”等と広告をみるがほとんどの場合“入ろう”と思えば他人でも簡単に入る事が出来る。

大体の犯人の足取りがわかった所で山さんと合流する事にした。




山さんは数人の警察官と部屋を回った後であった。事前に石橋さん宅へは自分が行っており不安がっていた事と刺激せずそっとして置いた良いと判断し山さんは石橋宅には寄らない事を伝え聞いていた。(山さんの優しさが感じとれる)


「犯行はカメラに写る表玄関から入らず非常口から侵入、逃走したと思われます。」

「裏口の路地は人通りがなく不審者の目撃者は難しいと思われます。」


「うむ、大体の現場の把握は出来た。今日は捜査を終了、明日からは忙しくなるから帰って寝ろ、解散!」

「了解!」


僕は敬礼のポーズを取り現場を後にした。

帰宅途中腹が減ったいたので弁当を買い自宅へと向かう。

一人暮らしの僕は家に着くと荷物を降ろした。

部屋の中は出て行く時と同様明るいままだ、昔から暗いのが苦手で部屋の電灯のスイッチは年中入れっぱなしである。

テレビをつけ、弁当を食べる。シャワーを浴びて時計を見ると12時を回っていたが日課である一日の総纏めを書くのは忘れない、日記みたいな捜査状況みたいな自分でもよくわからないようなノートである。

書き終わったノートを引き出しに入れると時計の針は1時を回っていた。

瞼が重くなり深い眠りにつく。もちろん部屋の明かりは点いたままだ。

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