白と黒と闇
真っ白な紙に、鉛筆で思いを書き出す。
やりたい事を、つらつらと書き出す。
今、自分のやりたいことを、ただひたすらに。
書き込む手は、止まらない。
今自分が何を望み、何を成すべきなのか。
真っ白な紙に、黒い文字を書き込んで、確認する。
文字は、白い紙を、黒く染めてゆく。
隙間を見つけては、文字を埋めてゆく。
欲求が、白を黒へを染めてゆく。
望むものが。
目指すものが。
思うものが。
慕うものが。
白い部分を埋め尽くしてゆく。
やがて、白い紙は、黒い紙へと、成った。
あんなにも何もなかった白い面に、ただ、広がる、黒い闇。
何が書いてあったのかさえ、黒に飲み込まれて確認できない。
私は何を書いたのだろう。
私の書いたものは、希望であり、未来であったはず。
それが、こんなにも、黒い。
こんなにも、闇だ。
真っ黒な一面。
闇の裏側は、ただの、白。
裏側は、真っ白だ。
まだ、書き込める。
書き込んでゆく。
そして裏も表も黒く塗りつぶされた。
ああ、この上なく、闇だ。
やりたいことを書くだけで、こんなにも白を黒に変える。
もう、この紙には、白が、どこにもいないのだ。
自分の闇を、これでもかと、現実に引き出し。
私は消しゴムを、手に取る。
すっと、闇の上を消しゴムが、すべる。
白が、出てきた。
夢中になって、黒を、消す。
すべて白くなったとき、幾分私の、心が、晴れた。