表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

第十五話 「新興宗教」〜6〜

「あああ・・・ザスター様・・・もっと・・・」

下半身を突き上げられる感触はいつもと違う。と言うよりも本来違ってならないと言えるだろう。

真奈美と琴音は快楽の絶頂へと引きずり込まれた。

媚薬を投与され、その上薬物を摂取した二人の肉体は一時的に感度が上がる。

その上肌の張りと細かな色素が向上し、その興奮は眼光にも現れる。

妖艶とも取れる潤んだ眼球は淫靡な視線を向けるに相応しく

また同時に彼女たちがハマってしまった罠でもあった。

事が済むとザスターは起き上がり、ズボンのベルトを締めた。満足げな笑みを浮かべ、真奈美と琴音を見ている。

しばらくすると部屋中を見渡し、そして誇らしげに顎を擦った。

部屋には麻薬と媚薬の両方を摂取された女たちが、別の男性信者と共に腰を振っている。

あまりにも淫らな光景だが、これも組織存続と拡大を図るための実験なのだ。

薬物を摂取された信者たちは皆虚ろな目を浮かべ、まるで自分では無い獣のような雄叫びを上げる。

今のところテストに合格したのは数人程度。他の連中はテスト中に異変を訴え狂って行く。

その狂いもザスターを始め、組織の下っ端どもが鎮静剤を打つことで難を逃れる。

今回ザスターが心螺旋から命令された実験は新型の媚薬と薬物との融合だった。

腕から摂取した媚薬と麻薬は人間の中腫神経を破壊し、感覚を麻痺させる。

その代わり脳内にある感触を司る意識を向上させ、肉体の感度を上げると言う役目を果たしている。

そこに同時に摂取した薬物が更に刺激を高め、肉体の衰えを完全に麻痺させる。

簡単に言ってしまえば快楽を増殖させ、痛みを感じない体にしてしまうのだ。

「それにしても幹部は何故このような実験を・・・・」

詳しい事は教祖のザスターですら聞かされていなかった。

部屋の奥には実験を待つ信者たちが椅子に座らされている。紅麗は後ろから4番目に座っていた。

「ザスター様、彼女は私たちの友人です。きっとご期待に沿えるでしょう」

「それは楽しみだ」

今回のテストに合格した真奈美と琴音がぐったりと項垂れる紅麗を見ながらそう言った・・・。


どんなに急いでも天誅会の本部がある施設までは30分は掛かってしまう。

涼風杏里と別れた歪は様々な天誅会の本部へと急いだ。

心螺旋と天誅会がまさか繋がっていようとは考えもしなかった。

考えが甘かった・・・歪は少しばかりの油断に後悔した。

紅麗には日頃から万が一に備えての心得は教えてある。拳銃も持たせてあるし、様々なトラップを見破る術も知っているはずだ。

しかし、そんな日頃の備えが実行に移された事は今まで一度も無い。

あの小さな身体で狂った信者たちを相手に出来るとも思えない。

彼女の性格を考えると持って20分である。

「くそっ!こんな事なら先に連絡しておくべきだった」

飛ぶが如く、歪は天誅会へと急いだ・・・。



「なるほど。確かに上物だな」

ぐったりと項垂れる紅麗の肉体を見て、ザスターは唸り声を上げた。

身体は真奈美や琴音と比べると小さい。だが体の質感は二人よりも優れており、筋力も備わっている。

おまけに筋肉の質が他の女と比べて引き締まっている。これは日々ジムなどで鍛えている証拠である。

更に彼女の体内に巡る血液や女性ホルモンの巡回も申し分なかった。

特に精神や脳波を司る女性ホルモンの量が多くなっている。これは恋をしている女に良く見られる傾向だった。

それによって本来以上の肌の質感や張り、優れた肉体の支持に貢献しているであろう。

もはや試さなくてもテストは通過するだろう。こんな上物に媚薬のテストは勿体無い。

そこでザスターは媚薬の投与を止め、薬物のテストに切り替える事にした。

実験の第二段階、それが肉体的な運動神経を高める麻薬「スターダスト」の投与である。

この第二段階の実験を通過した者は、この天誅会から心螺旋へと移送され、そこで更に様々なテストを受けることになる。

ザスターが知っているのはここまでだった。その後何が待っているか、その部分は知らされていない。

「スターダストは文字通り星屑。美しい星が流れるように、肉体を美しさを維持させ、そして強化される。

彼女をここへ」

「はい」

「ザスター様」

真奈美と琴音がぐったりしている紅麗をザスターの元へ連れて行った。

「これであの方たちもお喜びになるだろう。記念すべき第二審査通過、第一号だ」

「そう言う事だったのね」

「な、なにっ!!」

「紅麗!!」

それまでぐったりしていた紅麗が突然頭を上げ、目を覚ました。紅麗は瞬く間に真奈美と琴音を吹き飛ばし

ザスターから距離を取った。

「紅麗、あんた!」

「そんな・・・眠っていたはずなのに」

「お生憎様。あんな陳腐な睡眠薬を見破れないほど私はバカじゃないのよ」

「飲んでいなかったのね、フリをしていたんだ」

「そうよ。あの時飲料水を口に含んだとき歪から聞いた味とまったく同じ味がしたの。すぐに分かったわ。これには睡眠薬が入っているとね」

「やるね、お嬢さん。どうやら普通の女ではなさそうだ。何者だね?」

ザスターが聞いた。

「天誅、女神とでも言って置こうかな。私は死神じゃないしね」

「貴様、天誅、死神の仲間か!?」

ザスターの顔色が変わった。

「そんなところよ」

紅麗はそう言うと部屋中を見渡した。

「最低ね。何が天誅会よ!結局やっている事は淫らな行為じゃない!教祖が聞いて呆れるわ!

さっき実験って言っていたけど、あんたたちの裏に何があるわけ?」

「紅麗、あんたには関係ないことだよ」

「バカな女、あのままオネンネしていれば良かったのに」

真奈美と琴音はそう言うと背後から聖龍刀せいりゅうとうを取り出し、それを前で構えた。

紅麗も咄嗟にズボンの中に隠し持っていたトンファーを取り出した。歪から貰った携帯用のトンファーだ。

鉄だろうと鋼鉄だろうと受け止めることが出来る。

「バカな女はどっちよ!!宗教なんかに逃げて、挙句の果てにはそこのバカ男に飼い慣らされて性欲の奴隷?

おかしな組織に加担して、頭までイカれちゃったのね。最低よ!」

「紅麗、分かってないのはあんたのほうよ。人間いかに生きるかが大事なのよ。長いものには巻かれて

大きな野望に付いて行く。それがザスター様だったのよ」

「自分と言う存在まで捨てて、何が大きな野望よ!やっている事は人間以下じゃない」

「ザスター様、あの女は私たちが」

「ザスター様は上層部に報告を」

「分かった」

そう言うとザスターはきびすを返し去って行った。

「待ちなさい!!」

紅麗が詰め寄った。

「あんたの相手は私たちよ!!」

「真奈美、琴音」

「残念よ、紅麗。昔の友達を殺す事になるなんてね」

「冗談じゃない。あんたたちに殺されてたまるか!!」

「行くよ!!」


聖龍刀を翳した女たちが紅麗に襲い掛かった・・・。



7へ続く・・・。



END

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ