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若返った老夫婦は、異世界できままに旅をする  作者: ハトサン
プロローグ「夫婦、異世界への旅立ち」
2/4

夫婦、召喚される

ボフン!!!!!





–召喚成功です–





なんだろう、視界が煙のようなもので覆われてよくわからない。

幸いなことに、この煙は火事のようにむせる様な苦しさはない。

ただ、視界を奪っているだけのようだ。


「痛たたっ……。」


突然のことに驚いた僕は、軽く腰を抜かしてしまい座りコケていた。

手元を見ると、床は自宅のフローリングではなく、白い大理石のような石畳だった。


……なんだここは?


「ナオー!直之ぃー!」

後ろの方から彼女の声が聞こえる。


「祥子さん……しょうこさーん!!」

「怪我してないーーー?!!」

僕の安否を確認する、年齢とは似合わないはっきりした声が少し焦っていたように感じる。

「僕は大丈夫ですー!祥子さんはーーー?」

「大丈夫ーー!!!」

よかった。

「よかったですー!今そっちに行きますねーーー!」

まずは合流優先。腰が抜けて起き上がれないので、とりあえず四つん這いで彼女の声がする方へ進むこととした。

互いに声を掛け合いつつ、周りに注意して移動する。


「ポンも私と一緒にいるからねーー!!!」

よかった、彼女も無事なようだ。


思ったよりも場所はそんなに離れてておらず、すぐに彼女たちの姿が煙の先に見えた。


「しょうこさん!!」

「にゃぁ〜!」

「ポン〜ん!!」

祥子さんの腕の中には猫のポンもいて、彼女も少し驚いたのか体が縮こまっている。

「よしよしよし、ビックリしたね。」

四つん這いで近づく僕の顔に、ポンが体を擦り寄らせてくる。

「ふにゃぁあ〜。」

あー、すごい癒される。もっふもふやでー。

「本当に大丈夫?起き上がれる??」

「ははは、ちょっと驚いて。ギックリではないので大丈夫です!」

「……なら早く起きなよ。」

僕が怪我なども無いとわかったのか、祥子さんは心配してくれる優しいデレからいつものクール状態に戻ってしまった。

うーん、もう少し痛いふりをしておけばよかったか。いや、止めておこう。過去に怪我をした時に心配してくれるのが嬉しくて、過度に痛いふりをした際に、後からそれがバレた時は頭を思いっきりシバかれて首が吹っ飛んだかと思った経験もあるのでそれは良策ではない。


「ところで、ここは何だろうね。」

合流し互いの安全も確保でき安心したのもあるのか、家では無いこの変わった状況を判断するため、周囲を見渡して確認をする。

よく目を凝らせば、右側の方に細長い影のようなものが見えた。


「なんだろう……?」

細長い影が少し上下し、こちらに近づいてくる。

「人……かな?」

まだ視界はそこまで晴れていないためよくわからない。

「ナオ、ポン。私の後ろに。」

彼女は僕とポンを守るように、さっと前に出る。

「祥子さん……きゅん。」

やだ、僕の奥さん、男前すぎてときめくわ。


いや、彼女、HPクソ雑魚な僕よりホント強いんです。

若い頃から空手をしていて、選手時代は世界大会でベスト入りする強さだし。今でも毎週道場とジムに定期的に通ってる現役ですよ。この前は道で引ったくり犯を返り討ちにしてたし。(後でお巡りさんに、「感謝しますがお年ですから、無茶したらダメです!」ってお叱り受けたとか……)まあ、僕と住む世界違いすぎて色々と凄いんです。


「はぁー……」

深く呼吸をして、彼女は影の方に構える。

影が少しずつ近づいてきて、それがハッキリと人の姿だとわかる距離にきたその時、

「あのー」

警戒とは裏腹に聞こえてきたのは、やさしい女性の声だった。

どうやら人で間違いないようだった。

「あ、しょうこさー。」

「ちぇあー!!!!」

祥子さん、人みたいですよ。と、僕が言う前に、彼女は影の人に綺麗に後ろ上段回し蹴りを実行し、その足は見事相手の顎に入った。


影は紐が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。


顎は振動すると、本当に糸が切れたように倒れます(経験談)

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