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01 ギルド会員登録

 

 私達はギルド本部というところを目指しているそうで、馬車での旅は長いものになるとのことだった。

 その間にギルドについての詳しい話を聞いたが、簡単に纏めるとこういったものだった。


 ・ギルドは人族の国の王都『リヒトロッデ』にギルド本部があり、各地にギルド支部がある。

 ・ギルドはギルド役員とギルド会員に分かれている。ギルド役員・会員共に、採用はギルド本部にて行われる。

 ・ギルド役員は、ギルドが行う事業を運営・管理する側。ギルド役員は多数おり、世界各地で常に役員を募集している。

 ・ギルド会員は、ギルドが行う事業を実行する側。実際に魔物を討伐したり、一般人の娯楽向けとして開催しているコロシアムの選手として戦ったりする。ギルド会員は300名前後になるように採用を調整している。

 ・ギルド役員・会員共に種族は問わない。


 といった感じだ。お金?というものの話はイマイチよくわからなかったのだが、私は気にならないほど貰えるから気にしなくていいと言われた。

 ちなみに私はギルド会員の方である。魔物の討伐とかってした事ないんだけど、大丈夫かな?

 ギルド会員の方にはランクがあり、魔物討伐の依頼をこなしたり、コロシアムで勝ち上がったりするとポイントがもらえて、一定以上になるとランクが上がるらしい。そしてランクが上がると、待遇や年棒が上がるのだとか。

 それと、個人のランクとは別にパーティーというものがあるらしく、魔物討伐やコロシアムにもそのパーティー単位で挑むことになるらしい。

 パーティーにもランクがあり、それは設定された目標を達成しているランクの中の、最大のランクが適応されるそうだ。設定された目標というのは、例えば○ランク以上の者が△名所属だとか、パーティー結成から□年以上だとか、パーティーでの獲得ポイント× ポイント以上みたいな感じなんだとか。

 私にはなんとなくしか理解出来ないが、実際にギルド会員になって暫く経てばそのうち理解出来るだろうと楽観視することにした。


 それにしてもびっくりしたのは、森の外には生き物がいっぱいいることだ。

 特に、街とかいうところには特にいっぱいいる。馬車の旅でも何度か街に立ち寄ったのだが、その度にその活気に気圧されてしまったほどだ。

 森にはフェアリーしか居らずみんなのんびりと暮らしていたため、街の活気に慣れるのには随分と時間がかかった。

 幾つかの街を経由し、ようやく人族の国の王都までたどり着いた頃にはその活気にも慣れてきていて、今まではホテルの部屋に引きこもっていたのだが、ついに街を探索することが出来るようになった。


 とは言っても、まずはギルド本部だ。

 レインさんに連れられてギルド本部へ行くと、何やらたくさんの人達が出迎えてくれた。

 私が戸惑っていると、一人の男の人が前に出てきた。


「この度はギルド会員へのご加入、ありがとうございます。細かい手続きを行いたいので、こちらへお越しください」


 その男に連れられて奥の部屋へと入ると、一つの道具を渡された。


「申し遅れました。私、ヘレスと申します。ギルド会員及び役員の管理をさせていただいております」

「私はフェアリープリンセスのリリだよ」


 自己紹介されたら自己紹介をし返すのが礼儀だとレインさんから教わったので、見よう見まねでお辞儀をしながらそう返事をすると、ヘレスさんは優しい笑顔で対応してくれた。


「ええ。存じております。

 それではこの魔道具について説明致しますね。魔道具といっても難しいものではございません。そちらの従魔様と一緒に手をかざすだけで大丈夫です」

「うーんと、こう?」


 言われた通りにキューちゃんと一緒に手をかざすと、魔道具が不思議な光を放ち始めた。


「現在リリ様とその従魔様の魔力の流れを記録しております。それが終わりますと、リリ様と従魔様のみが使うことが出来るギルド会員カードが魔道具から発行されますので、しばしお待ちください」

「うん…」


 言われた通りに手をかざし続けると、今度は光が収まり始めて、完全に収まった頃に一枚のカードが魔道具から出てきた。


「カードが出てきましたね。最後にそちらのカードに名前を書いて頂ければ、それで完成でございます」


 ヘレスさんに渡されたペンで名前を書くと、ボッという音と共にカードに名前が刻まれた。

 カードの表面は至ってシンプルなギルドのロゴマークが書かれており、裏には名前・所属パーティー・ランク・所持ギルドポイント数・ギルド順位・所持コロシアムポイント数・コロシアム順位の項目があった。

 名前はリリ&キュー。ランクはEとなっていて、それ以外は0又はなしだった。


「ご苦労様でした。ギルド会員への登録はこれで完了です。

 本来ならばまずはギルドの推奨でパーティーを紹介するのですが、リリ様は特例として自分でパーティーを選んでもらう形となります。一応候補はこちらで絞りましたが、良いと思えるパーティーが無かった場合は自分で創設してもらっても構いませんし、他に巡り合ったパーティーがありましたらそちらに加入しても構いません。

 リリ様の住居はこちらで確保しておきましたので、この後レインに案内してもらってください」

「うん」


 ヘレスさんが私が要件を飲み込めたことを確認すると、一枚の冊子を渡してきた。


「こちらが候補のパーティーとその情報になります。

 それでは出口までご案内しますね」


 ヘレスさんはそう言うと、またギルド本部の入口の方へと案内してくれた。

 そこでレインさんと合流し、次は新しい住まいを確認することになった。



 ☆☆☆★★★☆☆☆★★★



 私に用意されていたのはギルド会員が入ることの出来る寮だった。

 その寮は様々な種族に対応するためか色んな部屋が用意されているそうだ。

 しかし、それでも妖精族の住む環境の部屋はなく、急遽一部屋私のために作ったらしい。


「うわあ、すごーい」


 部屋に入ると、素直にそう言葉が漏れた。

 部屋はとても広く、森を再現したかのように木がたくさん生えていて、小さな池なんかもある。そして、今まではどんなホテルでも感じることの出来なかった安心感を感じることが出来た。

 恐らく、この部屋は魔力濃度を高く保っているのだ。レインさんに教わったのだが、妖精の森は魔力濃度が極めて高いらしい。生物は基本的に魔力濃度が高いところに長居すると身体を壊してしまうそうなので、まさにこの部屋は私のために用意されたと言っても過言ではなかった。

 部屋に入る扉も一応大きなサイズなのだが、上の方に更に小さな扉がある。この部屋に客人を招き入れる時は大きな扉から出入りしてもらって、私は小さな扉から出入りするという算段だ。

 森を出てから感じることのなかった安心感のせいか、私は部屋に入るとすぐに眠くなってしまった。

 寮の説明は既にレインさんから教えてもらったので、もう既に私の自由時間だ。

 私の記念すべき森の外での初の自由時間は、お昼寝から始まるのだった。


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