姫様の献身
よろしくお願い致します。
私は、王族を貶める方法を考える。
私が目立つ行動を起こす訳にはいかない。
私の行動は、そのまま私の教育係である彼の評価に繋がるからだ。
そこで私は、王という目立つ位置にいる父を使うことにした。
平たくいえば、母を生き返らせるのだ。
この作戦で大切なことは二つ。
1、母に似た女を用意して、父を溺れさせ、政治の機能を停止させ、国民全員の不満を煽ること。
2、バラバラの国をまとめ、"王族"という共通の敵を倒す"英雄"の役を宰相である彼にやってもらうこと。
この条件をクリアするために、私は王女という権限を使い、ダンスパーティーを開くことにした。
ダンスパーティーなら物語のはじまりにピッタリだし、何より人がたくさん集まるから人の目に触れさせるにはもってこいなのだ。
おそらく、あの王のそばに母似の女がいれば、それだけで一定の大人の話題がかっさらえる筈だ。
とはいっても、私一人でこんな大それたことはできない。
勿論、彼の協力を仰ぐことになる。
大丈夫、彼はいつもこの国のことを第一に考えている。
多少反対されても、最後には必ず協力してくれる筈だ。
…そう思うと、何故か心に痛みを覚えた。
案の定、彼は作戦に頷いた。
それどころか、必要な手配を全てしてくれるという。
最初は反対されることを予想していたので、なんだか、気が削がれたような気分だった。
でも、少し救われた気分だ。何も出来ずに悩みの種だけ増やす役立たずの私が、恨まれて死ぬことで、最後に彼の役に立てる。
英雄になった彼は、きっと、たくさんの人に慕われ、良い国を築くだろう。
これが、私の恩返しなのだ。
これが、私の献身なのだ。
ありがとうございました。