4/10
姫様の決断
よろしくお願い致します。
城での暮らしに慣れた頃、"彼"に会った。
"彼"は私とほとんど変わらない歳なのに宰相をしているらしい。
"彼"が、私にここで生きる上で必要だということを全て教えてくれるという。
"彼"は、"みんな"と違って、私に気に入られたい訳じゃないらしい。
彼は、私をしっかり育ててこの国を立て直したいという。
私はこの時、自分以外を本気で大事にする人に、初めて出会った。
その、まっすぐな思いに、心が温かくなるのを感じた。
だから、私はあの人に協力したいと思う。
彼の願いを叶えるには、どうしたら良いのだろうか。
思案した末に、一つの方法を思い付いた。
王族がいなくなれば良いのだ。
庶民だった私の母に溺れて王の責務をないがしろにし、挙げ句の果てに母が死んだ途端に無気力になる父も、半分がこの城にいる資格もない血でできているほおずき姫の私も、いたって邪魔なだけだ。
決めた、私は王族を断罪しよう。
すべては、彼のために。
ありがとうございました。