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ほおずき姫〈new〉  作者: 佐田くじら
姫様の語る物語
3/10

姫様の過去

前に投稿したものと似ています。

少し変えました。

よろしくお願い致します。

人生の初めの頃は、そこそこに幸せだったと思う。


母は、外に男を作って帰ってこない事が多かった。

けれど近所の子達を見ていれば、殴られたりしないだけマシだと思い直し、寂しさも消えた。


早い話、母は私に全くの無関心だったのだ。


でも、あそこでは、自由に生きることができていた。

生まれも育ちも関係なく、責任もなかった。

みんな、平等に貧乏で。

私は身の丈にあった範囲で、ある程度幸せに生きていた。


その、ある程度の幸せが覆ったのは母が死んで少しのことだった。


騎士が大勢、家に押し入って来たのだ。


『王妃様が亡くなったんだ。仕方がない。』

『でも』

『なあに、陛下のご息女とはいえ、薄汚い[しょうふ]のガキだ。実際に王位を継ぐなどあり得ん。』


母に情はないつもりだったけれど、あのときの言葉は一生忘れないだろう。


あっと言う間に連れてこられた城で面会させられた[父]だと言う男は、私を見て見るからに不満そうだったけれど、何も言わなかった。


そのまま帰してもらえると思ったのに、城に留まるようにたくさんの人々に説得された。


初めのうちは、残してきたものがあるわけじゃなかったけれど、私なりに気に入っていたあの街に帰りたかった。


しかし、だんだん城に慣れてくると、帰りたいとは思わなくなった。


だって、城にはロクな人間がいないけれど、変わりに温かいご飯や綺麗な服や靴や部屋など、元の世界にはなかったものがあるのだもの。

それに、優しいメイドさんだっているのだもの。


本能が、違うと叫んでいたけれど、大人しくしていれば与えられる、刹那的な幸せに抗うことができなかった。

ありがとうございました。

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