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【ホワイト・ワーム】

巨大なゴミ箱、広告塔。

眼球に白い蟲が入ってきて、私を侵蝕していった。

ぐちゅぐちゅぐちょぐちゃ。

ぐじゅぐじゅぐちゃぐちゃ。

濁った給水タンクの中で、どろどろに私の身体は溶解していく。

腐敗した私の身体は、生活廃水となって再び下水へ流される。

ぴちゃぴちゃぺちゃぺちゃ。

髪を切った、落ちていったのは私の一部。


頭蓋骨を叩き割って、果物ナイフで大脳を掻き混ぜた。

脳髄の代わりにクラムチャウダーを流し込んで、

スプーンを入れ、中のマカロニとムール貝を綺麗に混ぜた。

とろとろとろとろ。

ぺきぺき、ぺちゃぺちゃ。


崩れ落ちるこの天が愛しく、

軋み始めた意味さえも分からない、この狂いそうに価値の欠落した憂世。

つまらない周りは己の鏡と知れば、救われないばかりで吐きそうです。

鏡を掌で叩き割って、割れた細かい破片を、

私の白い眼球へと、ずぶずぶぐちゅぐちゅ、たくさん、入れて。

ころころころころ硝子の破片が目の中を蠢いて。

赤い色をした涙を流しながら、べちゃぐちょぐちゅぐちゅ、垂れ下がったモノを蝕して。

舌を切った、落ちていったのは私の全て。


絵本の開けないページはほら、触れられない過去を押し込めた場所だから。

涙と血液で張り付いたページは、青色のクレヨンで顔を塗り潰された少女がいるから。


剥がされた爪が転がる床で、横たわって呻いている。

冷え切った動脈と静脈の中で、

血管の中を、ずぶずぶに太った白い蟲達は流れていくの。


首の無い人形が私を見ていた、顔を焼いた。

私と酷く似ている、気持ち悪い気持ち悪い。

呪いを吐いて、朽ち果てなさい。囁かれるの。うるさいよ。

腐敗の匂い、満ちた夜。満月に照らされた夜。

巨大なゴミ箱の中へと、収納される。

私の悪意は白い蟲となって、大量に増殖していき、

前頭葉の隙間にうねうね渦巻き、脳内を這いずり回っていて。

小腸と大腸の間を巨大寄生虫、蠢いているの。


何で、私の生きている場所は汚くて気持ち悪いのだろう。湿った血液の湯船に入るわ。

バスタブの中に詰まった大量のバラバラ死体が腐臭を放って、ボウフラと蛆虫が水の中を泳ぎ、

気持ち悪くて、気持ち悪くて、気持ち悪くて、気持ち悪くて、

腐ったものを浄化するために、熱風を吹き付けるドライヤーを突っ込んだ。

漏電中の湯船の中へ、無数のマチ針を刺し込んだ手首を入れて、

汚い『私』を浄化しました。


赤色の水を流す蛇口からは、無数の指が落ちてきて。

シャワールームは無数の髪の毛が這いずり回っていて。


汚濁を流す下水の中、

お腹の上にネズミの入った鍋を置いて、逃げ場の無いネズミが私の腹を裂いて潜り。

耳の奥には、蜘蛛達が巣を張り巡らせて、沢山の子供を産みつけている。

欠陥の中に巣食う、白い無視達。私を嗤うの。狂っていくわ。

白い蟲を食したわ、ぷちゅぷちゅとプチトマトを潰したように、口の中で中身が溢れ。

異臭を放つ牛乳を飲んだ、胃液の中で溶けていく。

とろとろくちゅくちゅ。


二つの身体が一つなの。足の代わりに尾鰭がある。

右目を瞑れば景色が消え、左耳を閉じれば音が途絶えた。私の半身はイカれていて、

欠陥品で失敗作で、とてもとても気持ち悪いわ。気持ち悪いわ。

気持ち悪いわ。気持ち悪いわ。

腐敗臭の詰まったガスが洩れ出て、

少しずつ、少しずつ少しずつ指が手が足が胸が腹が顔が腐り始めていくの。異臭を放ちながら生きたまま。

蠅の王は飛んだの。化膿した傷口の中へと、失望という名の卵を産み付けに。

どす黒く変色した手足で盛り付けた、お刺身と共に、傷口に出来た卵を、

白いご飯の上に盛り付けて、白い蟲達を冷たいお味噌汁の中に入れて、おいしくいただいたの。


寂れた小さな白い壁をしたサナトリウムの中で、永久に綺麗な薔薇育てよう。

一千万個分のハルシオンを溶かした白いヨーグルトを食べて、

安らかな、おやすみを望んでいる私。おやすみなさい。


手首を切った、落ちていったのは、私の……。





……希望。

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