↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二匹狼  作者: 山盛り
PR
1/5

序章『出会い』

 所々に深い茂みの有る草原が、どこまでも、どこまでも広がっています。

 その草原のとある場所を、白い毛の小さな狼が一匹で歩いていました。

 狼は群れを成して行動する生き物ですが、この狼の周りには他の狼が居ません。

 どうやら群れからはぐれ、一匹狼になってしまったようです。


「うーん……」


 小さな狼は立ち止まり、青空を見上げて遠吠えをします。


「アオォォォォォォォン」


 しかし、返事はただの一つもありません。

 小さな狼はまた歩き出しました。


「はあ。これからどうしよう?」


『ガサガサ……』


 小さな狼がしょぼくれていると、不意に小さな何かの物音を聞き取りました。

 小さな狼は足を止め、葉っぱ同士が擦れるようなその音のする方向を見ます。


「うん?」


『ガサァッ』


 小さな狼の側の茂みから、茶色の体に細い四つ足で立派に枝分かれした二本のツノを備える、

大きな鹿が飛び出して来ました。


「うわぁ!」


 小さな狼は大変驚き、飛び上がって逃げ出しました。

普通なら鹿は狼の主たる獲物なのですが、幾ら体格差が有るとは言えども、

これでは立場が逆転してしまっています。

 小さな狼が慌てふためく中、大きな鹿は一直線に走り去って行きました。


「ああ、ビックリした。やっぱり鹿って怖いなあ」


 落ち着きを取り戻した小さな狼は、鹿の背中を眺めて言いました。

 遠ざかる鹿を眺めていると、小さな狼の元に別の狼が現れます。

 先程の大きな鹿を追いかけて来たのでしょうか?


「ちっ!逃げられたか……」


 新しく現れた狼は、毛の色こそ小さな狼と同じく白いのですが、

小さな狼より一回りほど大きな体付きをしています。

 どこか丸っこく愛らしい小さな狼と大きく違って、目付きも鋭く中々に強そうです。


「おい、お前!」


 大きな狼は、小さな狼を睨み付けました。


「ぼっ、僕?」


 小さな狼は大きな狼の迫力に怯み、少しだけ後ずさりしました。


「狼の癖になんで鹿を襲わなかった!」


「だって、怖いもん……」


 小さな狼がうなだれています。


「はあ?狼の癖して鹿が怖いだと!?」


 大きな狼の言葉で小さな狼は嫌な事を思い出し、伏せて頭を抱えました。


「御免なさぁーい……」


 これが、小さな狼と大きな狼の出会いでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。