プロローグ
昔…。それはこの世界が創造されたはるか昔…。
世界は、神と呼ばれる龍達の手によって創り出されたとされている。
大気を造り、雷が鳴り、水が溢れ、大地が出来、緑が生え、炎が燃え、そして光と影が生まれた。
これが後に世界の理となる陰陽五行である。
彼らは世界を色で満たし、やがてそれは生命を生み出し、いつしか人と呼ばれる動物が溢れ、歴史を作る。
万物流転。世界は廻り始めた。
これを表の世界[人間界]と呼んだ。
そして、神なる龍達はもう一つの世界を創り、自らの住処とした。
龍達も繁栄を重ねたが、この世界は悲しくもやがて突如勃発した同族同士の争いにより、儚く、無惨に破滅へ傾いていった。
人間達の世界のように上手くはいかないものだろうか…。
当時の人間界はまだ繁栄をし始めてから歴史は浅く、龍は見誤ったとも言えるだろうか。
世界の破滅を防ぐため、1人の赤子を人間界から攫い、自らの力を分け与えた。俗に言う魔力とよばれる力である
これが後に[始まりの魔法使い]と呼ばれる人物である。
始まりの魔法使いは男という説と女だっという説があるが、果たして繁栄はこの1人の手によって繰り替えされた。
そして徐々に人間界のような世界を創り、世界は安定を帰していった。
だが、人間界と1つ違うところがあった。
棲みやすいように大気中に力を薄めたせいなのか、それとも遺伝なのか、産まれてくる子供に大小の差はあるがほぼ確実に魔力が受け継がれていたこと。そして、他の生物もまた…。
これにより世界は魔力で満ち、人間界よりも進歩する世界となっていく。
だが、いつしか龍達は居場所を追われ姿を消していったとされている。
これを裏の世界[魔法界]と呼んだ。
始まりの魔法使いが1人目の子を成してから史歴1458年。
47ヶ国あるうち20ヶ国以上が参加した第一次世界魔攻大戦勃発後、魔法界はその悲惨を乗り越えるかのように他国同士との協力ののち世界は安定に傾いていった。
そして史歴1690年。世界最大都市アルジミア王国のアルターナで王国転覆を狙った襲撃事件が発生した。この時攻めてきたたった3人の魔法使いにより都市は壊滅状態まで激戦を強いられていた。
世界が驚愕し、多くの犠牲者を出したその都市の映像は無惨で人々に恐怖を植え付けるのには充分過ぎる程だった。
そんななか、3人の魔法使いと唯一対等に渡り合った人物がいた。
セクルト・リュビアラスク
捕らえる事は出来なかったが、なんとか追い払い都市を救った事で後に神と称えられるようになる。
そして深手を負ったアルジミア王国は、次がいつくるか分からない襲撃に備え復旧とともに傭兵育成学園を設立させた。