決断
誰かが呼んでいる気がする。
必死に誰かが。
クリスチアナはそう思いながら紅茶を飲む。
いつもはこの庭でエシリアや千崎、シエナと菓子を食べたり紅茶を飲んで、喋って過ごす。
それはクリスチアナの昼の楽しみであり、自分を気楽に開放できる場所。
愛しい人のようなものだ。
「そういえば、そろそろ日本に行く準備をしないと」
「はっ!」
視界が一気に開ける。
どうやら気を失っていたようだ。
クリスチアナは辺りを見回す。
この場所は巨大スーパーマーケットと言ったところか。
かなり広いが薄暗く、人の気配など何処にもない。
まるで、忽然といきなり人だけがいなくなったみたいな雰囲気だ。
商品の表記がカタカナや漢字が使われていることからここは日本だ。
「シエナは・・・?」
シエナは一体何処へ行ったのだ?
少なくともこんな所に一人で置いてきぼりをするような性の子ではない。
それにクリスチアナを抱えてあの超人的な身体能力を持つ2人から逃れるなど無理な話だ。
(じゃあ転送魔術?)
それしか考えられない。
恐らくシエナは自分を生かそうとして魔術を使ったのだろう。
シエナの魔力はそれほど多くは保有していない。
「シエナ・・・」
いつまでも落ち込んでいてはいけない。
シエナが救ってくれたのだ。
彼女の想いを無駄にしては駄目だ。
クリスチアナはそう自分自身を鼓舞する。
今、自分がすべき行動は一刻も早く千崎達に連絡をとること。
その為には何が必要か?
(そうだ。スマホ!)
クリスチアナはスマホを手に取り電話をかける。
「クソ!繋がらない!」
ここは以前も来たことがある。
その時はスマホは使えた。
恐らく通信を妨害する電波が出ているのだろう。
(一端、この町を出たほうがいいわね)
この町を出るに手っ取り早いのは電車だ。
しかし、奴等は用意周到な所がある。
電車の駅は奴等がいるのではないか?
なら、他に移動手段は?
残酷なことにそれしか方法がない。
(このままの姿で行けば自殺行為ね・・・)
幸い、ここは巨大スーパーマーケット。
衣服、飲食物、電池などの家庭で必要不可欠な物資。
必要になるものはほとんど揃っているはずだ。
クリスチアナはまだ希望を捨ててはいなかった。




