縁を切った筈の幼馴染みから離れられないのだが
恋愛系は初挑戦です
「おい、座れー。HR始めるぞー」
教室に入ってきた、髪が跳ねまくっている担任は今日も眠たそうだ。
担任が教卓の前に立つと、クラスメイトものそのそと自分達の机に戻っていく。
いつもなら教室全体をざっくり見て「欠席ゼロだな」と決めて出ていくのに、今日は違った。
「今日は転校生を紹介すんぞ。鈴原、入ってこい」
転校生か。入学式から半年ちょっと経ったこの時期になんて珍しい。
先生の手招きで、教室がざわめく中一人の男子が入ってきた。
色素の薄いクセのある髪
それなりに身長がある身体は程よく引き締まっていて、ちょっと皮膚が日焼けしている
顔はめちゃくちゃイケメンってわけじゃないけど、パッチリした二重の眼で整っている方だ。
いかにも人から好かれそうな好青年、というのが客観的感想だろうか。
女子も少し色めいている。
「じゃあ鈴原、自己紹介適当にしろ」
「はい、えっと……初めまして、鈴原 真輝です。みんな、これからよろしく」
そう言って人懐っそうな笑顔を浮かべた彼に、女子はさらに色めきたった。
ただ、私はそれどころではなく彼の顔より少し下を見て茫然としていた。
「なん…で……?」
私は目の前にあるモノを見て呆然としてしまった。
なんで? なんで……鈴原君と私が『縁』で結ばれているの……!?
小さな呟きだったはずなのに、鈴原君が私の方に向く。
そして私の顔を見た途端、何故か緊張した表情から一気に綻んだ。
「縁里!」
「……は?」
笑顔になりイケメン度が増した鈴原君は一直線に私の机にやってくる。
突然の鈴原君の行動にびっくりして静まったクラスメイト達。
だけど、今一番びっくりしているのは間違いなく私、藤崎 縁里だ。
何で私の名前知ってるんだ鈴原君。
私にはこんなイケメン、知り合いにいないぞ。
びっくりし過ぎて固まった私を他所に目の前に来る鈴原君。
その目は何故かものすごくキラキラしてる。
「めっちゃ久しぶりやな縁里! まさかまた会えるとは思ってなかったわ!」
「は…え……?」
突然飛び出してきた関西弁に目を白黒させていると、鈴原君のテンションが何故か落ちていく。
「……もしかして俺が誰かわからん?」
「まったく。私、関西の友達いないし」
「あー…わからんのんって関西弁のせいなんか? まぁ、7年間ですっかり移ってもうたしなぁ。でも、昔は『まきくん』『ゆーちゃん』言うて仲良くしとったのに…」
「ちょっと待って。もしかして……あの『まきくん』?」
私の発言に鈴原君の顔がパァアと明るくなる。
「そうやで! 俺がその『まきくん』や!」
昔、よく一緒に遊んでいた『まきくん』。
その『まきくん』と目の前にいる鈴原君が同じ人?
時間をかけてようやく『まきくん』と鈴原君がイコールで繋がると、私の思考は完全に停止してしまった。
私は生まれつき人と人を結ぶ『縁』というものが見えた。
母親から聞いた話だと、昔から代々受け継がれてきた体質らしく、母親も祖母もこの『縁』が見えていたらしい。
こんな体質のせいで、私の視界には常に『縁』の糸が入ってくる。
特に学校の廊下なんかにいると、人が多いせいで私の視界は糸だらけだ。
生まれた時から常に見ていたお陰で違和感みたいなものはないけど、眼から入ってくる情報量が多いせいですぐに眠たくなる。
だから、授業が終わるとすぐに寝る。
お昼休みもお昼を食べ終わったらすぐに寝ている。
……そんな私に、クラスメイトは誰も構わない。
別に私が苛められている訳ではない。
少女漫画みたいに机に落書きされたり、トイレで水をかけられたりなんかされたことがない。
ただ、誰も私に寄ってはこない。
その理由は分かっている。
私は誰とも『縁』がないからだ。
人が他人に話し掛けるのは大きく分けて二種類。
『何か用事がある時』と『直感』だ。
そしてこの『直感』、つまり見ず知らずの相手を見て『なんとなく仲良くなれそう』と感じるのは、その人と縁が繋がっている場合がほとんどだ。
縁で繋がっている人とは、その後友達になれたり何処かでまた会えたりする。
しかし私の場合、その私に興味をもつきっかけである他人との『縁』がないから、誰も自然と話し掛けてこない。
私自身も友達を作る気がなかったので、結果友達はほぼいないという状態になっていた。
___________
「…はずなのになぁ」
「どした?」
「……なんでもない」
何で鈴原君と『まだ』繋がっているんだ。
隣で本日三個目のパンにかぶりつく鈴原君を見て、内心溜め息をついた。
朝のHRの後はもう大変だった。
本来なら鈴原君だけが皆に囲まれ、それを部外者の私がのんびり茶でも啜りながら眺めるはずだった。
なのに、鈴原君のせいで私の所にまで女の子達が集まってきてしまったのだ。
「鈴原君と知り合いだったの!?」から始まり
「どういう関係なの」だの「鈴原君、彼女いるのかな?」だの、とにかくうるさかった。
すぐに一時間目が始まったから、ものすごくホッとした。
このままひっそりと隠れていれば、みんなその内鈴原君しか見なくなる。
そう高を括っていたのに、お昼休みが始まった直後に鈴原君が「昼飯一緒に食お!」なーんて言うからさあ大変。
結局皆の視線に耐えきれなくて、鈴原君を引っ張って逃げるように教室から出ていき、空き教室で食べることに落ち着いた。
念のためにだけど、本当は一人で食べたかったよ?
でも、鈴原君には聞きたいことが山ほどあるから仕方なく連れてきたんだよ。
「それで、結局鈴原君は『まきくん』なの?」
「そうや。何回も言ってるやん」
そうは言われてもさ、信じられないものは信じられない。
だって私の知っている『まきくん』は、もっと髪黒かったし関西弁じゃなかった。
よくよく見れば面影はあるけど、こんな爽やかイケメンだったっけ。
そもそも、確か鈴原って名字じゃなかったはずだ。
……両親が離婚したのかな。
プライベートなことだし、聞かないでおこう。
「何で私のことわかったの? 最後に会ったのって小二だったよね」
「そらぁ……その、最初は雰囲気が変わってたからわからんかったけど、それ以外はあんま変わってへんし」
「どーせ童顔ですよーっだ」
「拗ねんなって」
笑って私の頭をぽんぽんする鈴原君。
普通の女の子なら「きゃっ、撫でられた!」なーんていう可愛らしいこと思うのだろうか。
私には暗にチビだとバカにされているようにしか感じない。
が、鈴原君が言ってることは間違っちゃいない。
前髪ぱっつん真っ黒ロングのまるで日本人形みたいな髪型は、16年間変えたことがない。長い割に癖がないから楽だからいいんだけど。
顔も小学生の時からまるで変わった気がしない。
そうなんだけれども…… 悔しくなる私はひねくれているのだろうか。
とにかく、今更私には縁なんていらない。
話が進む前に縁を『切って』おかなくちゃ。
食べ終わったお弁当箱を袋にしまい、右手の指をチョキの形にする。
私には人の縁が見えることの他にもう一つ能力がある。
それは人の縁を『切る』ことが出来る能力だ。
利き手である右手の指をチョキの形にし、気合いを入れてハサミを使うように動かすと、縁もチョキンッと切れる。
能力のことをちゃんと知ってからは、あまり使わないようにはしていたのだけど……
覚えてくれてたのにごめんね、鈴原君。
心の中で謝り、縁を切るために気合いを入れる。
その時、ふと顔を上げると険しい表情の鈴原君と目が合った。
「ど、どうしたの?」
「……それ、止めてくれへん?」
「それって…」
「そのチョキの形。俺、それ嫌いやねん」
そんなの初耳なんですけど。
そもそもジャンケンにも使うチョキの形が嫌いってどうなのよ。
でも……なんかものすっごく睨まれてるし、能力バレたら駄目だからとりあえず今は止めておこう。
しぶしぶ諦めて手を直すと、鈴原君の顔が和らいだ。
何でそんな顔するの。
まるで、私のこの能力を『使ったことがある』事を知ってるように。
身内以外、誰にも言ったことがないのに。
「この高校で縁里と会えてホンマよかった。これからヨロシクな!」
そう言う鈴原君の顔はキラキラしてて、今まで考えていた物が物なだけに罪悪感が胸にのしかかる。
目立ちそうな人とは関わりたくなかったんだけどなぁ。
グッバイ、私の平穏な学生ライフ。
____________
「……でさぁ真輝、正直どう思ってんだ藤崎のこと?」
引き戸にかけられた手がピタリと止まる。
教室には幼馴染みのまきくんと、その友達がいることが話の雰囲気でわかった。
そして、思わず身を潜めてしまい聞き耳をたてたのは仕方ないはずだ。だって、二人がしている会話の内容が私の話なんだから。
家に帰った後、教室に筆箱を忘れたことに気が付いた。
普段なら別にいいやと思って放っておくのだが、生憎その日には漢字ドリル5枚分書きとりという地味に量が多い宿題が出されていた為、仕方なく学校へ取りに戻ってきていた。
早く筆箱を取って家に帰りたい。
しかし、話の内容が気になる。
ドアの向こう側に私がいるなんて露も知らない二人は会話を続けていく。
「ほら、藤崎ってお前ばっかりくっついてるだろ。なんていうか妹? それかひよこみたいにさ。でも、お前はどう思ってるのかなーってさ」
「……そんなの、決まってるだろ」
ドア越しに聞こえてきた普段と違う低く冷たい声に、身体が震える。
「俺はアイツとの……今の関係を終わらせたい」
聞こえてきた言葉に頭が真っ白になる。
友達の同情する声も聞こえてきて……私はその場から逃げ出した。
私は生まれつき『縁』に関する力がとても強かった。それは見ることはもちろん、切ることも容易いことだった。
好奇心旺盛な幼児の頃にとって、目の前にある紐状に見える縁は格好の遊び道具。チョキンッとやるのが楽しくて手当たり次第縁を切った結果、お母さんが気付いた時には私の縁はほぼなくなっていた。
それでも唯一切らなかったのが、よく一緒に遊んでいたまきくんだった。
物心つく前から一緒に遊んでいたまきくん。
彼はどんくさかった私の手をいつも引いてくれていた。
そんなまきくんに対して、いつしか自分でも淡い恋心が芽生えていた。
ずっとずっとこのまま横にいたいと思っていた。
だからきっと縁についてよくわかっていなかった頃の私も無意識に切らずにいたのだろう。
でも、小学校に入ると周りが黙っていなかった。
明るくて元気で足が早かったまきくんはあっという間に学年の人気者になっていった。
反面、私は幼い頃からずっと日本人形みたいな髪型と友達がいないってことで、よく地味だとか根暗とか陰口を叩かれていた。
だから、まきくんと私が仲良くしていることに口を出されるようになっていた。
でも、私は気にしていなかった。
まきくんと少しでも繋がっていたかったから。
たとえ他の誰にも相手してくれなくたって、まきくんがいてくれたらそれでよかった。
……知らなかった。まきくんが私との関係を終わらせたいと思っていたなんて。
息が絶え絶えになりながら自分の部屋に着くと、道中堪えていた涙がぼろぼろと溢れた。
関係を終わらせたいと思われていて悲しいとか、何で今まで言ってくれなかったんだという怒りとか色んな感情が溢れて止まらなかった。
そうしてひとしきり泣いた後……私はまきくんと縁を切ることを決意した。
もともとウジウジすることが嫌いだったから、決断した後の行動は早かった。
この頃になると相手にかなり近付かないと縁が切れなかったので、その日の内に理由をつけてまきくんの家にお邪魔した。
一緒にアニメを見て、晩御飯をご馳走になって、そして……まきくんとの縁を切った。
それからは怒涛の展開だった。
縁を切った2日後にはまきくん家の引っ越しが突然決まり、1週間後にまきくんは転校していった。
転校の話を聞いた時に感じたのは、喪失感と罪悪感。そして恐怖だった。
だって、縁を切っただけで転校するとは思ってもみなかったのだ。ただ私と仲良くしなくなるだけだと思っていた。
なのに、私と離れるどころか学校にいる人達やこの地とまで離れることになるなんて。
後でお祖母ちゃんに聞くと、まきくん一家はこの地に縁はなかったが私との縁の力だけでこの地に留まることができていたらしい。
私との縁の力が切れて、本来の運命通りに事が進んだのだと教えられた。
まきくんとの経験で私は一つ学んだ。
他人と関わると相手も自分も傷付く。だから、もう他人と関わるのは沢山だと、そう思ったのだった。
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なのに今、私はまきくんこと鈴原君と毎日一緒に帰っている。
毎回何かしら理由やら強行突破やらで逃げようとしているが、最終的にはお菓子とかアイスを一緒に食べながら帰っている気がする。
ここまでやられるとさすがにわかる。
鈴原君は私が関わらない様にしようとしていることをわかっていて、なのに逃げることを許さない。
わかるとかなり腹が立ってきた。
だって、あの時私との関係を終わらせたかったのは鈴原君だ。
その気持ちを汲み取って、運悪く一緒の高校の同じクラスでしかもまた縁が繋がってしまったけど関わらないでいようとした。
なのになんで向こうから関わろうとするのだ。おかしい。普通他人の振りをするもんでしょ。
とりあえず今日こそ一人で帰るぞと意気込んで歩いていると、踏み出した足下が急に柔らかくなった。
「ふぁっ!?」
「危ない!」
バランスが保てなくなり頭から床に激突しそうになったが、浮遊感と腹の軽い痛みを感じただけで私の身体は不恰好なまま止まった。
「大丈夫?」
上から聞こえてきた声に聞き覚えがあるようなないような気がして振り向く。
すると、黒髪にセクシーな泣きぼくろのイケメンの顔がドあっぷにあった。眩しい。眩し過ぎて目がチカチカするような気がする。
見つめているのも気恥ずかしくて目線を下に向けると、私の腹に程よく筋肉がついた腕があった。それで、ようやく転けかけたのをこのイケメンくんが助けてくれたのだと気付いた。
「ごめん。お陰で顔面血だらけにならずにすんだ。」
「いや、いい。というか血だらけって……藤崎は相変わらずだなぁ。」
「あれ、私のこと知ってるの?」
心当たりがなくて首を傾げると、イケメンは何故か苦笑した。
「僕、一応藤崎と同じクラスだよ。というか、小学校も一緒」
「え、ほんと?」
「その顔、本気で覚えてなかったのか。まぁ、ロクに話してなかったけどさ」
「申し訳ない」
私は人の顔と名前を覚えるのが苦手だ。
だからと言って、小学校一緒で今同じクラスの人を忘れていたのはヤバいでしょ。イケメンくんだから余計に。
……というか、いつまで抱えられているんだろう私。
そろそろ離れないと、女子なんかに見つかったら面倒なことになりそうな…
「……縁里を離せ」
わぉ。早速誰かキター。
違うんですよ。これは不慮の事故ってやつで、決してこのイケメンくんと話したかったわけじゃないんですよ。
なんて誰も聞くわけない言い訳が頭の中に飛び交うも、一応お口はチャックしておく。口は災いのなんちゃらっていうし。
というか今、私の名前呼んだ……?
一瞬の間が空いた後、私の身体が強い力で引っ張られる。
また転けるのではと一瞬ヒヤリとしたが、大きい何かにぶつかって転けることはなかった。しかし、何故か身動きはとれない。
見上げると、ものすごく恐い表情の鈴原君が目に入ってきた。
「鈴原君……?」
「……縁里に触るな」
地を這う様な冷たい声に、私に向けて言われたわけじゃないのに思わず身体が竦み上がる。
何故か巻き込まれてしまったイケメンくんが突然の事で目を白黒させている間に、鈴原君に引っ張られその場を離れた。
その後も無言で歩き続ける。
いつまでも無言の鈴原君に痺れが切れて、口を開いた。
「いい加減離して。手、痛い」
とりあえず強く握られて手が痛いと訴えると、鈴原君は立ち止まった。しかし、手は強く握られたまま離れる気配がない。
「何怒ってるの? 言ってくれなきゃわからない」
「縁里は……アイツのことが好きなんか?」
「はい?」
突拍子過ぎて話についていけない。アイツって誰だ。
ちゃんと説明してほしいのに、肝心の鈴原君は私の方をちっとも見てくれない。
「そうやんな。アイツの方が格好いいし、モテるもんな。だから縁里も……クソッ、何だよコレ。もう諦めろってか?」
「ちょっと鈴原君…」
「そりゃずっと一緒やったのはアイツやけど……今更諦めれるかよ。こっちは隣に来るまで何年掛かったと思ってんだ」
「……いいから話を聞け!」
空いていた方の手に持っていた鞄を、遠心力を使っておもいっきり鈴原君にぶつける。
手は離してくれなかったがようやく此方を向いたので、睨みを効かして鈴原君に詰め寄る。
「さっきから何がしたいのよ!? さっきのイケメンくんにお礼言ってなかったのに、無理矢理引き剥がして、しかも全然離してくれないし!」
駄目だ、口が止まらない。
想いが溢れて止まらない。
「何で私に関わるの!? 縁は切れなかったけど、これでも頑張って鈴原君と関わらない様にしてきたのに!」
「な、なんでそんな…」
「何で!? 鈴原君が前に私との関係を終わらせたいって言ったからだよ! ……もうこれ以上、私を振り回さないで。早く……まきくんへの『好き』を諦めさせてよ…」
まきくんの思いを知ったあの日以来、好きでいることを諦めようとした。そして、諦めることが出来たと思っていた。
なのに、鈴原君が私に笑いかける度にまた惹かれていった。何度も私は駄目なんだと、叶うはずがないんだと言い聞かせていたのに、結局諦めることが出来ないほど想いは大きくなってしまった。
告白なんてしたらきっと鈴原君は困るだろうってわかってたのに、結局これって好きって言ってしまった様なものじゃないか。
この初恋をこっそりひっそり終わらせるつもりだったのになぁ。きっとこの後、フラれちゃうな。泣かないでいられるかな。
「縁里」
ふわりと、私の身体が暖かいものに包み込まれる。
「俺、縁里のこと好きなんや。やから、諦めんといて。まだ、俺のこと好きでいて」
聞こえてきた言葉が信じられなくて顔を上げると、次の時には優しく包み込むようなキスをされていた。
後で聞くと、小二の私が聞いたあの話は誤解だったらしい。
私と『兄妹』みたいな関係を終わらせたかっただけで、私のことを嫌いになった訳じゃなかった。あの時から男として見てほしかったのだと、鈴原君は顔を真っ赤にして教えてくれた。
お互いの気持ちが通じ合った後、私と鈴原君を結ぶ縁はいつの間にか赤色になっていた。
一度は切れた鈴原君との縁。今度は切れないようにしよう。
そう決意し、赤い縁が繋がっている鈴原君の小指をギュッと握った。