その4:1つ目
滝のふもとについたニオたちの前に、自警団のハリアーが立ちふさがった。
「ちょっと待て、ここは立ち入り禁止だ。ニオたちなら知ってるだろ?」
進行方向をさえぎられたレッシュは、いやいやながら服の右袖をめくった。緑色に輝く
腕輪が、敢然と姿を現す。それをハリアーの目の前へとかかげてみせた。
「王都第四特殊部隊所属、レッシュ=セルフィッシュた。爆弾が仕掛けられたという疑惑が
あるので、通らせてもらう」
「は、はい!」
初めて見た王都直属を証明する腕輪に、ハリアーは勢いよく敬礼をした。
「あなたはここに残って、滝にだれも近づかないように誘導してくれる? もうすぐ他の
自警団のメンバーも来るはずだから」
ハリアーは頷き、すぐさま行動に移った。それを背に、ニオたちは滝のふもとへと近づ
いていく。
レスチアの見張りに残ったアルマを残して、残りのメンバーで手分けして爆弾を探す。
なにもしらないウォルガレンの滝は、いまもなお豪快に流れ続けていた。
元々人が入れないのを把握していたのか、隠し場所にはあまり気を使っていなかった。
発見はそうむずかしいものではなく、数分後には三つの機械がニオたちの目の前に並んで
いた。
デジタル数字が減り続けているのは最初の爆弾と同じではあるが、他の部分はまったく
といっていいほど異なる形式になっている。
「さあ、説明しなさい」
レッシュの銃口を恐る恐る見やりながら、レスチアが爆弾について説明を始めた。辺り
を得もいえぬ緊張感が包んでいく。
「ひ、一つは鍵を使って解除するタイプです……」
「で、鍵はどこだ?」
「そ、それが、どこかで落としてしまったようで……」
アハハハと乾いた笑いを放つレスチア。その笑いを止めたのは、口の中に突っ込まれた
ハンターのパイソン4インチの銃口だった。
「本当だろうな?」
「ほ、ほんろう、へす……」
銃を口から引き抜き、ハンカチで拭いてからホルダーへと戻す。ハンターはレッシュの
方を向くと、ポンと肩を叩いた。
「解除は頼んだぞ?」
「わたしがか?」
「この中で鍵開けについて一番詳しいのは、盗賊であるレッシュだろ?」
「盗賊って呼ぶな」
言いつつもレッシュはハンターの申し出に納得していたのか、すぐさま使い慣れたキー
ピックを腰に着けられた皮製のバッグから取り出す。それから少し離れた場所に鍵で解除す
る爆弾と共に移動し、解除を始めた。