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一話

この世には王道と呼ばれるお約束な設定が幾つかある。

本来「王道」とは「お決まりの設定、展開」という意味でなく、「儒教を理想とした政道」もしくは「安易な方法」といった意味なのだが、今は置いておこう。


兎も角、今、俺の身近にも、一つそんな環境がある。

金のあるボンボンの息子共が集う、全寮制男子校富士宮魔学院。

幼等部から始まり、小、中、高、大と一貫性で、その上中等部からは入寮しなければならない正に王道学院だ。


名門と名高い富士宮のブランド名、一般家庭では決して払いきれない学費。

授業料補佐の奨学金制度、学費、生活費等全額免除の特待生制度もあるにはあるが、学力レベルの高いこの魔学院でそれを受け、尚且つ維持するのは難しい。


その為集まるのは一流企業の息子ばかり。

彼らの誘拐等の可能性を恐れ、他者が侵入しにくい森の奥、山の中に建てられ、人避けの結界まで張られている富士宮。

帰宅しようにも最低2、3時間かかる為、自宅に帰る頃には夕食の時間。

近所の子供と接する機会が少なく、魔学院で接するのは男だけ。

幼少の頃から続くそれは、同性愛者を多く生んだ。


小等部高学年になるとその傾向が現れはじめ、中等部、高等部と進む程にそれはエスカレートしていく。

見目の麗しさを中心に、魔術、頭脳、運動能力、家柄、性格等に優れた者は他生徒により優遇され、祭り上げられた。


親衛隊なる信者集団が発生し、信仰対象である男や、親衛隊隊長、副隊長の手腕にもよるが、放置され、過激派となった親衛隊は一般生徒の脅威となる。


過激派親衛隊は己の信仰対象に眼鏡に叶わぬ輩が近付けば、例え肩がぶつかっただけだとしても、制裁という名の虐めを始める。

隊にもよるが、警告から始まるそれは、時が経つ程にエスカレートしていき、最後には集団暴行、集団強姦にまで至り、強制自主退学させることまである。


権力により揉み消されたが、過去に自殺者が出ている程惨いものだ。


生徒、そして教師までも、この特殊な風潮を当然のものとして甘受し、暮らしている。



この風潮がつくられたものだとも知らずに。



富士宮魔学院という名の通り、ここは生徒に魔術と呼ばれるファンタジーを教える学院だ。


魔術は人智を越えた力。


その力と力が交配され、更なる力が生まれることを恐れた国。

彼らは様々な種の魔術学校を各地に建てることで、魔力持ちを自然に集め、男子校、女子校に振り分けた。

そこで同性愛を少しずつ刷り込み、魔力持ちの管理を謀った。


力の使い方を教わり、代わりに国に管理される。


いくら男子校だとはいえ、同性愛者、両性愛者の数が異常に多い王道学院。

裏を返せば王道など所詮こんなものだ。



転校生、転校生と騒ぐ生徒会役員を前に、俺こと生徒会会長、玖遠寺紫暮は、あからさまな黒い剛毛鬘、黒縁瓶底眼鏡の写真に視線を落とした。


なんとも言えん。

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