表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前を愛することはない、私もなのでお構いなく  作者: 紡里
第一章 卒業パーティーとそれから一年後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/87

6-6 抜き打ち訪問

若者たちの休日です。

 ダンブリッジ領は、領境の警備に神経を尖らせてはいるものの、穏やかな日常が続いていた。


「お兄様、これは婚約予定の二人が親睦を深めるためのお出かけですのよ。着いてこないで」

 家族ゆえの遠慮のない物言いが微笑ましい。


「いやいや、結婚したらいつでも一緒にいられるだろう。

 精霊王様とお話しできる機会を逃してなるものか」

 愛馬を併走させながら、次兄アルベリックはしれっと答えた。


 ジークムントは、そんなやりとりにも幸せを感じて、笑顔になってしまう。

 帝国ではなく、こちらで暮らしたいという思いが湧いてきた。

 だが、そんなことが許されるのだろうか。

 それに、帝国の精霊たちを移住させるという大樹の精霊王の依頼が難しくなる。



 大樹に辿り着いたときに、声が聞こえた。


 ――そのように焦らなくともよい。完全に縁を切るわけでないなら、機会は巡って来よう――


「お気遣い感謝申し上げます」

 ジークムントの声に、すかさずアルベリックが首を傾げた。

「なに? 早速、お話しているのかな? ん?」

 ジークムントの手を握れば精霊王の言葉を聞けるため、手を繋ごうと迫るアルベリック。


「お兄様、ほんとうにお邪魔ですわぁ」

 妹コーデリアの容赦ない言葉が飛んだ。



 緑が瑞々しく輝き、汗ばむくらいの陽気が、心を浮き立たせた。


 大樹の根元に、今日の軽食を皿に乗せて並べた。

 このお供えはいつの間にか消えていると聞き、アルベリックが消える瞬間を見たいと言い出す。


 兄妹の言い合いに混ざっていることが、なんともむずがゆく、夢のようだ。



 遠くから声が聞こえた。


 辺境伯令嬢のシャーロット・マーチがライオネルと一緒に馬で駆けて来た。


「二日早く来ちゃった」

 シャーロットは屈託なく笑う。

「もう、明日いろいろと準備しようと思っていたのよ」

 コーデリアは苦笑いした。今頃、屋敷では大急ぎでおもてなしの準備をしていることだろう。


 メイドが紅茶をカップに注ぎ、二人は広げたシートに腰を下ろした。


「結婚するなら、普段の状態も知りたいから抜き打ちで」

 悪びれもせずに言うシャーロットに、ライオネルが紅茶を吹き出しそうになった。

「まだ、お見合いの段階でしょう」


 顔を赤くするのを満足げに眺めてから、シャーロットは告げる。

「……というのは冗談で、父上からの手紙をダンブリッジ公爵閣下にお届けに来たのよ」


 堅物のライオネルをからかって楽しんでいるようだ。


「新たに宰相になった方が倒れてしまわれて、元の宰相ブライス侯爵に復帰していただくか、ダンブリッジ公爵にお願いするかという話が出ているの」

 呆れたという空気が流れる。

「その話が本格的に動く前に、対策を立てる必要があるでしょう? 早馬の代わりに、飛んできたのよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
王宮側は厚顔ですねぇ……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ