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あたしの背水の陣

作者: 歌川 詩季

 好きな泳ぎかた。

 あたしの背泳ぎはまさに背水の陣

 クロールでも 平泳ぎでも

 バタフライでも駄目なときに

 やけになって あおむけに浮かんでみたら

 視界いっぱいにひろがった空が見せてくれる景色


 ゴールがその果てにあるのかもわからない

 水平線のむこうを目指してたころは

 いわば背空(はいくう)の陣

 空を背負って 空に(そむ)いて

 その青さとその広さすら

 あたしを押し潰そうと あるいは

 あたしを水のなかに沈めてやろうと

 のしかかってくるように感じてた


 だけど 背泳ぎな いまのあたしは背水の陣

 ウォーターベッドのような水面(すいめん)

 ゆったりと()かれたあたしのこと

 空は押し潰しそうとも 沈めてやろうともせずに

 ただ ただ その青さと広さを

 惜しみなくあけわたしてくれる


 水平線のむこうのゴールを目指すだけが

 あたしの()くべき陣じゃあないって

 老獪(ろうかい)な軍師のような思慮で

 そっと(さと)してくれたんだ


 だからあたしの背水の陣は

 その名に反して穏やかなきもちのもとで()かれる


 もうちょっと このまま あおむけで

 空の青さと広さをながめていよう

 顔、つけなくていいもん。

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― 新着の感想 ―
こういう穏やかな背水の陣もアリだな、と思いました。 余談ですが、私はクロールしかできないので背泳ぎは憧れますね。
学生時代、背泳ぎの練習でターンする際にプールの壁が見えないので、手を壁に当て損なうと頭を思いっきり打って痛い思いをした経験が有ります。 それで背泳ぎはリスクが有ります。 更に鼻に水が入ります。
上を向いて見なくても、空を見てるとなんだか元気になれますよね。 目線の高さの空も好きです。 小池は背泳ぎできなくて沈みますけどね……。
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