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あの海は不滅 2
「なんで、わたしがー」
と、わたしは低い、太めの声をだした。
広島まで車で行こうと提案したのはパパだったが、ママの提案によって荷物持ちはわたしがやることになったのだ。ママが喜んでいるところを見ると、自分が持つのがしんどいから、「風月ももう直ぐ中学生でしょ」と言ってわたしをぬか喜びさせたのは、そう理屈をこね回して、自分が楽するためだったらしい。
ただ、一つわかったことがある。
この旅で、私は変わった。
春から高校生になる私。
日記を読み返してみると、あの日のにおい、あの日の足音、若いわたしの「ママー!」という声――。
すべてが懐かしく思う。
〔まぁ、まだ数年しかたってないじゃん〕
降ってきたその声は、間違いなくあの日の「わたし」の声だった。
私は目を細めた。