セレナーデを聴かせたい
セレナーデの訳語は夜曲、あるいは小夜曲とされている。
夜曲と聞いて、夜をテーマにした曲と思ってはいけない。
これは夜に奏でる曲なのだ。
まぁある意味、夜をテーマにした曲とも言えなくは無いのだが、どちらかと言うと、夜に聴くのに相応しい曲と言った方が正しい。
甘く優しく、しっとりとした曲。
元気が出るような曲ではなく、疲れを癒やすような、しみじみと心に沁みてくるような、そんな曲だ。
キミはギターを上手に弾けるだろうか。
あるいはピアノでもいいのだが、夜にピアノを弾くのは、はっきり言って近所迷惑だ。ていうか、ピアノが置いてある家なんて今ではかなり珍しい部類なんじゃなかろうか。
あるに越したことはないが。
ともかくキミは好きな娘に、もしくは付き合っている彼女に、自分の想いを込めてしっとりと曲を奏でる。
好きだという想いを込めて。
できるだけ、ロマンチックに。
そして渾身のビブラートで彼女の心を震わせる。
彼女はキミの奏でるセレナーデに、心地良さげに首を傾けながら、静かに目を閉じて聴き入っている。
甘く切ないセレナーデ。
曲が終わると、彼女は「もう、どうにでもして」とでも言いたげに、キミの肩にもたれ掛かって、潤んだ瞳で見つめてくるに違いない。
今夜は二人、寝れにゃあで。
読んで頂き、ありがとうございました。