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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス1巻、11月末同時発売予定】  作者: しゅーまつ


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ホステス姫

宿に戻ってから、カタリーナにシャランしてもらったカザフに、スポドリもどきを飲ませる。


「水分はちゃんと取っとけよ。お休み」


「お休みなさい……」


カザフ達はダブルベッドで3人一緒に寝る。


「カザフー、マーギン怒ってなかったねー」


「うん」


「カザフはまだイライラしてんのー?」


「なんか自分でも分かんねぇんだよ。マーギンのことは好きなのに」


「やきもち焼いてるだけでしょー?」


「お前までそんなことを言うのかよ」


「だって、いつもバネッサ姉のこと見てるじゃん。みんなカザフが、バネッサ姉のことを好きなの知ってるよー」


「うるさいっ。トルクこそ、カタリーナのことをよく構ってるじゃないか」


「そうだねー。なんか、姫様のことは守らなきゃって思うんだよねー。どうしてか分かんないけど。でも、姫様がマーギンにベタベタしてても、僕はイライラしないよ?」


「俺もしてねぇ」


と、カザフが答えるとクスクスと笑うトルク。


「俺はなんとなく、カザフの気持ちが分かるかな」


と、タジキも参戦。


「リッカのことか?」


「うん。リッカもマーギンのことを好きだろ? なんかそれがさぁ……」


「みんなマーギンのこと好きだねー」


「そうだよなぁ……」


と、タジキが頷く。


「僕達もマーギンのことを好きだからいいじゃない」


トルクがそう言うと、カザフとタジキもそうだなと笑ったのであった。


◆◆◆


「あー、オルターネンとロッカが帰ってきたー!」


もう少し飲もうと宿の食堂で飲んでいたマーギン達。そこへ、オルターネンとロッカが戻ってきたのだ。


「姫様、何かありました?」


いきなり大きな声でカタリーナに名前を呼ばれたオルターネンは、何事かと驚いた。


「どこで何してたのー?」


カタリーナにそうニヤニヤしながら聞かれて、オルターネンの隣にいたロッカが赤くなって俯いた。


「ふーん、なるほどねぇ。謎はすべて解けたわ! ロッカ、部屋で飲み直すわよ」


「えっ?」


「大隊長、ここの支払いお願いね。ロッカ、行くわよ!」


「えっ? えっ? えっ?」


こうして、女性陣はロッカを連行するように部屋へと戻っていった。


「大隊長、姫様はどうしたんです? かなり飲まれたんですか?」


「ロッカは色恋の話をするために連れて行かれたのだ」


「は?」


「お前ら、二人で出掛けただろ? 何があったか尋問されるということだ」


「何かって……」


◆◆◆


「さ、白状しなさい。オルターネンと何をしてたの?」


「べっ、べっ、別に何をしてようといいではないか」


顔を赤くしたロッカははぐらかす。


「そっか、お酒が足らないのね。ローズ、強いお酒を持ってきてもらって」


「姫様、人が話したがらないことを無理に聞くのはよくないですよ」


「それはロッカが決めること。早く持ってきてもらって!」


「じゃあ、私がもらってきますね」


と、カタリーナの護衛をしているローズが離れるのはまずいと思ったアイリスがお酒をもらいにいった。


「ほ、本当に何もしてないから、話すようなことはないぞ」


「はい、はい。それは飲んでから話そうね」


と、しばらく待つと、宿の人と一緒に戻ってきたアイリス。皆が飲みたいものとおつまみを頼み、カタリーナはロッカ用にウイスキーのボトルを頼んだ。


「さ、飲んで飲んで」


ホステスをするカタリーナ。接待されるロッカ。


「ほ、本当にないのだ」


「まぁまぁまぁまぁ、はい飲んで飲んで」


どんどんと飲まされるロッカ。いつ話をするのかワクワクしている周りの者達。


「どこのレストランに行ったの? 私たちは居酒屋だったのよね」


「いや、レストランでは……」


「はい、飲んで飲んで飲んで、飲んで飲んで飲んで、はい、飲んで♪」


酒を飲ませ続けるカタリーナ。


「ヒック、私達は……ヒック、食事買って街の外に……ヒック」


カタリーナに、気持ち悪くなったらシャランランするからと言われて、ウイスキーのボトルをストレートで2本を空けたロッカは酔ってきた。


「へー、食事を買って街の外に何をしにいったの?」


空いたグラスにドポドポドポとウイスキーを注いで続きを聞く。


みんなもようやく、ロッカが口を割りそうだとワクワクしているなか、ローズだけは兄の色恋話など聞きたくないようで、嫌な顔をしていた。


「吹雪も収まってきてたから……服を脱いで……」


「ふ、服を脱いで何をしたのっ?」


ローズ以外がロッカを取り囲み、顔を近付けて話を聞く。


「いや、ここからは恥ずかし……ヒック」


「はい、飲んで飲んで飲んで」


酒を自白剤に使うカタリーナ。


「だんだんと身体が熱く……なって……」


ロッカのろれつが回らずに何を言ってるのか分かりにくいが、話が核心に迫ってきたのが分かる。


「オルターネン様が私の足を持って……」


ごくっ。


「私の上に乗り……」


ここで、ロッカが寝そうになった。


「足を持って、上に乗って何をしたのよーーっ!」


「う……ん……」


クカーー。


「早く言いなさいよーーっ!」


寝ていくロッカを激しく揺らすカタリーナ。


「う……」


「う?」


「うぇぇぇぇぇ」


「ぎゃーーーーっ!」


自白ではなく自吐したロッカ。まともに浴びたカタリーナ。部屋は阿鼻叫喚となったのだった。


◆◆◆


「は? 筋トレだと」


「はい。剣の立ち会い稽古をするつもりだったのですが、私の体調が思ったより戻っていなかったので、軽く打ち合って終わりにしたんですよ。ロッカはマンモー討伐に加われなかったのが、心に引っ掛かってたようでして」


「で、ロッカが筋トレしたのか?」


「はい。1人でやるより、足を押さえて腹筋したほうが効率がいいと言うもので。他には私が上に乗って腕立て伏せとかですね」


「せっかく2人きりだったのに、色気のないことを……」


大隊長も呆れる。


「一段落付いたとはいえ、任務中ですよ。浮ついたことなんてするわけないじゃないですか」


そんな話をしていたら、バネッサが慌ててやってきた。


「マーギン、来てくれっ!」


「なんかあったのか?」


「いいから早く!」


何事だと慌ててカタリーナの部屋に行くと、大惨事になっていた。


「うぇぇぇん。マーギン」


酸味臭溢れるカタリーナがマーギンに抱き着こうとする。


ヒョイ。ベチャ。


それを避けるマーギン。


すぐに洗浄魔法をかけておく。


「酷いじゃないっ!」


「酷いのはお前だ。風呂に入ってこい」


と、カタリーナとぎゃいぎゃい言い合いするマーギンとは裏腹に。


吐いて倒れているロッカをオルターネンはタオルで口を拭ってやり、抱き抱えていた。


「マーギン、頼む」


2人に洗浄魔法をかけると、オルターネンはそのままロッカの部屋に寝かせにいった。


「姫様、ロッカに何をされたのですか?」


と、大隊長が真面目な顔でカタリーナに聞く。


「の、飲んでもらっただけよ……」


ギヌロっ。


「ローズ、お前は何をしていたんだっ! 姫様の暴走を止めるのもお前の役目だろうが!」


説明されなくても、だいたいの状況を察した大隊長はカタリーナに怒鳴らずにローズを怒鳴った。


「も、申し訳ありません」


「大隊長、ローズは悪くないの。私が……」


「姫様、酒は飲み過ぎると毒と同じだというのはご存じでしょう?」


「そ、そこはほら、シャランランすれば……」


「マーギンはそんなことのために、姫様に聖杖を託したのではありませんぞっ!」


ついにカタリーナにも怒鳴った大隊長。


「ご、ごめんなさい……」


と、謝ったカタリーナは助けを求めるようにチラッとマーギンを……


「……いないっ!」


マーギンはとっとと、この場から逃げ出していた。


「姫様、ちょうどいい機会です。そこへお座りください。ローズも隣に座れ」


「「はひ……」」


こうして、カタリーナとローズはコンコンと大隊長から説教をされたのであった。



「大丈夫か?」


ロッカをベッドに寝かせたオルターネンは顔を覗き込んだ。


「オ、オルターネン様。申し訳ありません。つい飲み過ぎてしまいまして……」


「だいたいの状況は察しが付いている。謝らなくてもいい。もう気持ち悪くないのなら、このまま寝てしまえ」


「はい……」


「おやすみ」


チュっ。


ボッ。


顔から火が出そうになったロッカは布団に潜り込んで、明け方近くまでドキドキしていた。



「自分の部屋で寝ろよ」


マーギンの部屋まできたアイリスとバネッサ。


「うちはカタリーナと隣の部屋なんだよ。ずっと大隊長の怒った声が聞こえてくんだろが」


「私の部屋も隣なので同じです」


「自業自得だろ? ロッカが自分で吐くまで飲むか。お前らが無理矢理飲ませたんだろうが」


「カタリーナが飲ませやがったんだ」


「同じ部屋にいて、止めなかったんなら同罪だ。部屋に戻れ」


「冷たいこと言うなよ」


と、バネッサがベッドに潜り込みやがった。そして、アイリスもすでに潜り込んでいる。


ここの床は床暖になってないので冷たい。ソファも寝転ぶには小さい。


「ベッドは譲らんからな」


そう言っても二人とも出てこないので、潜り込んでやる。


「狭いだろうが。うちの部屋使っていいぞ」


「お前が戻れ」


「私の部屋でもいいですよ」


「お前が戻れ」


そして、誰もマーギンのベッドを譲らなかったので、そのまま寝たのであった。




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― 新着の感想 ―
マーギンの性欲はどうなってるんだ?
3スタンは仕事柄どこぞの貴族の末娘とか、商会の子弟とか宛てられたりしそうだけどな(*・ω・) ハンナリーとシスコ…大変だな(*・ω・)
トルクのこじらせは報われて欲しくない感じなんだよなぁ 女性陣も酷いんだけど、そこまで思えないのは何故なのか
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