長編版検討中婚約破棄承けたまりました……と言うと思ったか!?
「やれやれ、肩凝りがひどいきゅな」
チビエママスターは、ふとひっくり返ると天井を見ながら天井の染みを数える。
「ギルドマスター、お連れしたきゃ」
受付のミヨの声で、ギルドマスターチビエマは慌て起き上がると、ハードボイルドな顔をし……
「入れきょ」
威風堂々にかっこよく答えるのでした。
きらびやかなハーゲツェア公爵毛主催の夜会。
公爵毛の毛は毛根細胞が弱いのか、見目麗しい顔に頭が寂しい。
私はフーサフサ公爵家嫡女ポーション。
そんな私は、婚約者ゲスキターによって豪快断罪されてる。
しかも冤罪で。
「聞いてるのか!?貴様は私の地位を陥れ、私より目立ち私より権力を持つのが気に入らん!!
しかも、此処にいる男爵令嬢アーザトを苛めた罪は万死だ!!よって貴様との婚約を破棄とする!!」
「婚約破棄承りました……と言うと思ったか!?」
テーブルを飛び越えた私は、婚約者の顔面に踵落としを喰らわせる。
「げふ!?」
婚約者は地面に沈んだ。
「ゲスキター!!貴様は本日を持って王国騎士団から除名する!!詳しい処罰もまた下すから謹慎しろ!!」
私はゲスキターに吐き捨てると、そのまま夜会を後にした。
そう、私は女性でありながら王国騎士団団長で、婚約者ゲスキターは平の騎士だ。
恋に狂ったかは分からないが、婚約者であり団長である私にここまでしたのだ。
手抜かりも何も一切容赦しない。
しかもだ、ゲスキターのハーゲツェア公爵毛は負債を抱えていて、我がフーサフサ公爵家に援助をして貰う立場でこれだ。
堪忍袋が切れた私は、騎士団本部に戻り急ぎ処分と手続きをした。
10日後。
ゲスキターはハーゲツェア公爵毛から除籍され、騎士団も除名にされた。
ゲスキター有責で婚約破棄され私への賠償金を払うために、チビエマ王国へ冒険者として働きに行かされた。
チビエマ達は見た目は小人、だが狩りとなると鬼だ。
私は溜め息をして書類を仕上げるのだった。
チビエマ王国にて。
「お前が新人の冒険者うきゃか?」
25センチくらいの小さな小人が、ゲスキターを見上げる。
「そうだが……なんだ貴様は?ギルドマスターに私は会いに来たのだ!!さっさとギルドマスターに会わせろ!!」
「ギルドマスターは僕うきゅ。お前、チビエマを嘗め腐ってるきゅな?」
途端にギルドマスターチビエマから迸る闘気。
「なっ!?」
びっくりして腰を抜かすゲスキター!!
「お前は最下位のAランクから始めろきゅ」
「Aランクで最下位なのか!?」
「勿論きゃ、AからZが冒険者ランクきゅ」
ゲスキターにギルドマスターチビエマは頷く。
「受付のミヨ君、新人の薬草採取に付き合ってくれうきゃ」
「分かりましたきゅ」
ギルドマスターチビエマに受付のミヨは頷いた。
「さあ、行きますよ。たまにSランクの魔物出るのでうっかり死んだりしないでくださいね」
「いーやーだー!!何なんだ!?チビエマは我々の國とはランクも違う!!わああ!!」
ミヨにゲスキターは引き摺られ、ギルドマスターチビエマの部屋から出ていった。
「本当にポーションちゃんの婚約者きゃ?弱すぎうきゃな」
呆れてギルドマスターチビエマは溜め息を付いた。