聖女の姉のここはどこ?
先週調子が悪く、通知なく更新できませんでした。もし待っている方おられましたら申し訳ありませんでした。
くしゃみをしてしまった。
とりあえず寝たふりを続けようとしたが、どすの利いた声でおい起きてんだろ、と声がかかった。
寒いだろうから起きてるならタオルをかけてやるが、どうする?ともう一人に声をかけられたので、さも、吸い込んだ水が気管にでも入り、今起きましたというよう言うような咳をして体を起こす。
本当に毛布を掛けてくれた。北風と太陽の話はこちらの世界でもあるのだろうか。
屈強そうな男が二人見下ろしている。
あたりを見渡すがこの部屋にはほかに人はいないようだ。
今すぐ自力で逃げるのは現実的ではない。見つけてもらうまで粘るか懐に入ってから逃げるか。
顔をあげて相手を見る。相手の情報をあまり取り入れるのは、誘拐される側が最終人質になった時に解放されるのか、それとも口封じされるかという二拓になってしまったときのことを考えると悪手だろう。
だが、今起きたという演技を事実としてとらえてもらうために、また、これからの対話のためには必要なことである。
私の頭に冷水をかけた二人のうち片方が部屋の外に出ていく。
あたりをゆっくり見渡すが、当たり前だが全く見覚えもなければどこなのかなど見当もつかない。
壁にはひびが入っており、廃墟がそれに近しい建物であることがうかがえる。
私が転がされている壁と反対側には窓があるが、すぐ向かいに同じような窓枠が並んでいることを考えると中庭の可能性が高い。仮に隙があったとして、足の拘束が外れたとして、窓から逃げるというのも難しそうだ。
「ずいぶん落ち着いてんなあ。さては起きてたのか?」
「おびえてるだけですよ。今起きたとこです、言いがかりはやめてください。」
判断するのはおそらくハイネ様と呼ばれている一人。こちらに注意を引き付けておけばもう一人に勝手に手を出されることはないということだ。
防御魔法のことを気にしているので、今すぐ命の危険を心配する必要はない。
そもそもこの国の地図自体対して頭に入っていないのだから、ここがどこかわかったところであまり意味はないのだが。
「やあやあ、ご婦人。数日ぶりですね。」
想像はしていた。
私にオルゴールのついた盗聴器を渡してきた、あの商人だ。




