第九十話 この先の選択
「お母さん? って事はソアラさんの……子?」
マルクスが言っていたレンに似てる知り合いがカルマの母親だという事実に驚くロキ。
「ん? そうか、聞いて無いんだね」
「え?」
「ソアラさんは、吾郎さんの奥さんであるソラさんに似たヒューマライズだったそうだよ。つまり、カルマのお母さんは、ソラさんなんだ。ソラさんは、政府直属の研究所の研究員……、そこでレヴェイを作ったのが彼女。そして、カルマが、その最初の一人なんだ」
「え? え? ちょっ! 情報が多すぎて……、ソアラさんは元々ソラさんって人に似たヒューマライズで……そのソラさんはゴローじいの奥さんで……カルマを作ったのが……え?」
「……ロキ、テンパり過ぎ。後からまた私が説明してあげるから」
「う゛っ……。た、頼む」
「カルマ、驚かせてごめんね。私、お母さんじゃないかもしれないけど、仲良くしようね!」
「あ、ああ」
調子が狂った様子で、照れくさそうなカルマ。
「ふっ! いつも冷静なカルマが形無しだな」
「う、うるさいぞ、クリオネ!……まあいい。捜索対象を確認した。俺は、町の皆に会ってくる」
そう言い残すとカルマは姿を消した。
――
その後、マルクスの家で食事をし、午後にはアパートに戻ったロキとレンは、今後の事について相談していた。
「レン……、その……ソアラさんの事黙っててごめんな」
「ううん、気にしてないよ。私に似たヒューマライズなんだよね? ゴローじい、私に会った時驚いただろうな」
「ああ、衝撃だったって言ってたよ。会えて嬉しかったともな」
「そっか! なんか私も嬉しい!」
「また絶対あそこに戻ろうな!」
「うん! もちろん!」
「っと、もうひとつ。あのさ……、マルクスさんが言ってたゴローじいの奥さんが……ってところもう一回説明お願いしてもいいかな?」
「うん! えっとね、私が似てるのはソアラさんだけじゃなくてゴローじいの奥さんにも似てるってとこまではいい?」
「うん、それでそれで」
「奥さんの名前はソラさん。ソラさんは政府の研究所の研究員でもあった。そこでカルマを作った。レヴェイを生み出した張本人って訳」
「なるほど。だからカルマのお母さんって訳か」
「なんで私が二人に似てるのかは分からないけどね」
「……。(政府とレヴェイたちが対立しているのは間違いない。そのレヴェイを作った人に似ているとなると……、やっぱり政府が探しているのはレン……? あり得る話だ)」
「ん? ロキ?」
「あ、いや……」
「そーいえば、カルマ最初に“探す必要は無くなった”って言ってたよね! お母さんを探しに行ってたのかな。可愛いよね!」
「ははは……、そっか。お母さんかぁ」
「ん? あ、ロキ、お母さんを知らないんだよね。ふふふ、いいよ! 私がお母さんになってあげてもっ!」
「い、いいって! なんだよ急に」
「だって、なんか寂しそうな顔してたし」
「そんな事……。そ、それより……、この先どうするかだ」
「次の育成師に会って話を聞きに行かないの?」
「それが、俺、闘賭博で目立ち過ぎた事でやっぱり、政府に目を付けられた可能性高いかもって……。で、俺の捜索に今の俺じゃあ太刀打ちできないような奴が来たらどうすんだってクリオネがさ……。まあ、悔しいけど、迂闊に動いて良くない結果になるより、カルマやマルクスさんがいるここに留まるのが無難なのかもな」
「お! 珍しくロキが賢明な判断をしようとしてる」
「おいおい、ご主人様を馬鹿にし過ぎてないか?」
「だってそーじゃん」
「お、俺だってたまにはだな……」
「自分で、たまにはって言っちゃってるし!」
「と、とにかくだ。まずはここでの生活の仕方を学ぶところから始めてみよう」
「うん!……で、どうやって?」
「……よし! 困ったときはマルクスさんだ! もう一回マルクスさんとこ行ってみよう!」
「ははっ……、笑われそう……」
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