表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/201

第七十八話  徴税制度とヒューマライズ

 壇上に町長が現れ話が始まった。


「あーおほん。みんな、忙しい中集まってもらって感謝する。話の内容は皆の想像通りじゃ。……マルクスが行方をくらまして以来、皆には苦しい思いをさせてしまっておるのは他でもない、ワシの力不足故……。現状、皆には生活費を削ってもらい、その分を税金に当ててもらっておる現状も十分理解しとる。……じゃが、それでもはやり厳しい状況なのが現実じゃ。世界の多くの者がヒューマライズに重労働を課し、その稼ぎで不自由の無い暮らしをしとる中、ヒューマライズとの共生を望み、家族として共に生きる皆をワシは誇りに思っとる。じゃが、このまま税金の支払いが滞ってしまえば、政府から厳しい勧告が下されるのも……――」


 ガラーッ!!


 町長の話の途中で勢いよく扉を開け、男が三人入ってきた。一人は背の低い小太りの中年、残りの二人は体格の良い大男……、風貌からしてボディーガードとしての戦闘特化型ヒューマライズのようだ。


「やぁやぁ皆さんお揃いで! 結構な事です」


「モ、モーゼスさん!?」


 ざわざわ……


 想定外の来客に町民がざわつき出す。


「ハンスさん、あの人は一体?」


「モーゼスさんといって、この町の徴税を担当している上層階級のお方です。非常に横暴な性格の人で、この町で彼をよく思っている者はいません。……何の目的があって来たのか、嫌な予感しかしません」


「皆! 落ち着くんじゃ!」


 場の混乱を町長が鎮める。


「モーゼスさん、今日はどういったご用件で……?」


「回収に来たんですよ……」


「え?」


「町長、あなたには事前に忠告したはずです。上の決定には従ってもらいます」


「ちょっと!! 待っ……」


「どれでもいい、連れて行け!」


 モーゼスが声を上げると護衛の二人のヒューマライズが一人の女性型ヒューマライズの腕を掴み強引に席を立たせた。


「うぐっ!」


 しかし、腕を掴まれたヒューマライズの横で小さな男の子が泣きながら、必死に抵抗した。


「ママ!! お願い、ママを連れてかないで!! ママがいなくなったら僕、一人になっちゃうぅぅーー……!!」


 状況からするに、父親を亡くした少年が母親代わりのヒューマライズと二人で生活していたようだ。


「おい、ガキを黙らせろ。おっと、殺すと面倒な事になるからな。軽く遊んでやるくらいにしろよ」


「はい、モーゼス様」


「やめろ、モーゼス!!」


 町長が叫ぶ。


 同時にロキとレンが飛び出した。レンが男の子を抱きかかえ、ロキが母親を救出した。


「はい、もう大丈夫だよ! 怪我ない?」


「え? あ、ありがとう、お姉ちゃん!」


「よっと! お母さんも、危ないから後ろ下がってて」


「あ、はい! ありがとうございます」


「なんだ? お前ら、徴税妨害は犯罪だぞ?」


「そんなの知らねーよ! 嫌がってたじゃん、あの子!」


「嫌になるのはこっちだ! 三ヶ月も滞納されては上に面目が立たんのだよ!……けっ! 一町民の分際で私に盾突くとはいい度胸だ小僧。そっちの赤髪のはお前のヒューマライズか? なんなら今月の回収はお前のヒューマライズにしてもいいんだぞ!」


「できるもんならやってみな」


「ふん! やれ! その赤髪の女を捕まえろ!……ガキが生意気な口を聞いたツケだ。軽く可愛がってやれ。おっと、顔にキズはつけるなよ。治るからと言っても価値が下がるからな」


「はっ!」


 モーゼスの命令で二人の戦闘特化型がレンに襲い掛かる。しかし、左右から同時に襲い掛かる攻撃をいとも簡単に受け止めるレン。そして、素早い動きで反撃。その瞬間、二人の大男が倒れた。


「な、何ぃ!? お、おい! 起きろ! 相手は生活支援型だぞ! ふざけてる場合か! 回収だ! 早く回収しろ!! 私の命令が聞けんのかこのガラクタども!!」


「おっさん、無理だ。今のレンの攻撃で脳幹にダメージを負ってる。ヒューマライズなら数時間後には回復するだろうけど、暫くは動けないよ」


「んのガキが!! もう許さんぞ!!」


 そう言ってモーゼスは懐から銃を出しロキに銃口を向けた。


「ロキさん!!」


 ハンスが叫ぶ。


「おい!! 町民ども!! 私に盾突いた者がどうなるか見ておけ! 人形一体の回収を拒んだが為に命を失う事になるんだ!! 覚悟しろよクソガキ……。死ねー!!」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


もし少しでも、面白い! 続きが読みたい! と思っていただけましたら、


ブックマーク、評価をお願できましたら幸いです。


とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ