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第七十五話  闘賭博決勝

 スッ……


「っと、ロ、ロキ選手消えまし……、え? っと消えたロキ選手、10メートル以上離れたクインシー選手の背後から突然現れました……が、……クインシー選手が振り返る事なくロキ選手の拳を掴んでおります。お、おそらくロキ選手がクインシー選手の背後に回り、攻撃を仕掛け、その攻撃をクインシー選手が受け止めた。そんなところかと思われますが、私の目では追えませんでしたー! これはまるで、グレードⅠのバトルを思わせるような試合です!!」


「……準決勝では本気ではなかったようだな。私と戦う事を想定して温存してたわけか」


「くっ!(なんて握力だ……。手が外せない。)」


「なに、悔しがる事は無い。決勝まで手の内を見せずにいた戦略は成功している。故に技の特性を見誤った私は攻撃を避けれず、受け止めるしかなかった。動きは流石。吾郎さん仕込みだな。しかし、重みが足りんな。……投降を勧める」


「……へへっ、まさかここまで差があるとは思ってなかったよ。悔しいけど、今のは本気だった。どう足掻いても勝てそうにない。降参だ」


「……おっと……両者立ち止まりました。これは一体……」


「審判! 俺の負けだ! 降参する!」


「おーーっと! ロキ選手降参です! 降参しましたー!!」


 ブーブー……


「観客席からは激しいブーイングの嵐です! しかしここは仕方がありません! 激しいバトルも予想されましたが思わぬ形の幕切れとなりました! さあ、それでは気を取り直しまして……、優勝は、クインシー選手ーー!!!」


 優勝が確定し、その場を去ろうとするクインシーにロキが話しかけた。


「なあ、あんた何者なんだ? ゴローじいの事も知ってるみたいだったし……、まさかあんたも育成師!?」


「……それは、こちらのセリフだ。吾郎さんと同じ技を使う人間がいるとは正直驚いている」


「おい! 答えになってないって。って俺から答えるべきか……。俺は、ロキだ。それ以上の事は知らない。それを見つける為に旅をしている。育成師なら俺を知っているかもしれないってゴローじいが言ってたんだ」


「……事情を詮索するつもりは無いが、吾郎さんから戦闘を学んだようだな。……それと、残念ながら私は育成師ではない」


「じゃあ、あんた何者なんだ? なんでそんなに強いんだ?(まさか、政府の人間?)」


「今は答えられない。だが、育成師に会うつもりならば、いずれまた会う事になるかもしれないな」


「なんだよ、勿体ぶって。ってこっちの事情も詮索しないって言われて、詮索するのは失礼か」


「ふっ! 人がいいな。……一つだけ忠告だ。闘賭博(とうとばく)は政府が関与している。今回、お前は目立ちすぎた事で政府から目をつけられる事は間違いない。お前が何者かは知らないが、もし政府と敵対するような事になったとしても、真面にやれば今のお前ではどうにもならん連中が政府には何人もいる。それだけ伝えておこう。どうするかはお前の勝手だが、迂闊な行動は慎むのが賢い判断だ」


「は、はは……、そりゃ親切にどうも」


 そしてクインシーは立ち去って行った。

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