第七十二話 闘賭博一回戦開始
「さあ、いよいよ本日のメインイベント、グレードⅢのバトルが始まります!! 歴戦の猛者達が下級グレードとはレベルの違うバトルを見せてくれるこの上級グレード! 今回も人気の選手達はもちろん、上級グレードの醍醐味の一つでもあるジュヴェルビーク地方から連れられてきた魔獣も見逃せないぞー! そして、今回の一般参加枠は超大穴!! なんと2枠共に人間です! さあ、8枠のトーナメントで争われるこのバトルの頂点に立つのは一体どの選手だー!!」
ここは闘賭博出場者控室。会場からは実況による試合前のマイクパフォーマンスと観客の賑わいだ声が聞こえる。
控室にはロキの他に三人の姿があった。一人はロキと同じく一般参加枠で出場した選手。仮面とフードという、まるで正体を隠しているような異様な出で立ちだ。あとの二人は戦闘特化型のヒューマライズだ。共に実績も十分あり、今回の優勝候補として挙げられている。
8枠ある内の残り4枠は猛獣の類だ。上級グレードではかなり危険度の高い猛獣が出場するのが定番で、猛獣が優勝する事も珍しくないという。
そして今、一回戦が始まろうとしていた。その第一試合には早速ロキの姿があった。
「みなさん、お待たせしました! それでは一回戦第一試合の始まりです! まずは、一般参加枠から出場のロキ選手! 命知らずとしか言いようがないが、果たして生還できるのかー! 対するは大型の猛獣ガロン! 過去その爪や牙の餌食になった者も少なくありません。オッズでもガロンが圧倒的有利!」
「コ・ロ・セ!! コ・ロ・セ!!」
「おーっと、観客席からは割れんばかりの殺せコールだー!!」
「はぁー……、ひどい声援だな。(猛獣か。大きいな……。でもまあ、なんとかなるだろ……)」
「グァァァーーー!!!!」
「っていきなり来た!?」
「おーっと、ゴングが鳴る前にガロンがいきなりロキ選手に襲い掛かるー!! これは猛獣戦ではあるあるですが、一般参加のロキ選手ー、不意を突かれる形となってしまったぞー!! 万事休すかー!!」
ロキを目がけて突進してくるガロン。しかしロキは冷静に急所を見極め、顎に一撃を放った。
「……グァ……」
ドシーン……!!
「……え? な、なんと寸前でガロンの動きが止まり、そのまま倒れましたー!! よ、よってこの試合、勝者ロキ選手ー!!」
「へへっ、まず一回戦突破っ!」
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