第七話 育成師
2日後、その驚異的な回復力で怪我は完治した。
そして、ロキの早期退院の希望もあり退院する事に。
「先生、ありがとうございました」
「ロキさん、正直あなたの回復力には驚かされました。ですが、完治したとは言えあまり無茶はしないように」
「はい! ありがとうございました」
「では、お気をつけて」
「はい! それでは!」
こうして旅は再開された。
「よし! じゃあ、おじいさんの家に行こう!……って場所は?」
「大丈夫です。住所を教えてもらいました」
「おー、助かる」
老人の家まではそれほど遠くもなく、暫く歩き到着した二人。
――“式神吾郎”
「わぁー、これまた広い家だなー!」
家の広さに驚くロキ。
一方、表札の名前を見て意味深につぶやくレン。
「やはり……」
「レン、知ってるのか?」
「はい。式神吾郎といえば、戦闘特化型ヒューマライズの戦闘育成の名匠です。病院で顔を見た時にそうではないかと思ってはいましたが、やはり式神氏でしたか」
「へぇー、有名人だったんだ!……てか、戦闘育成って人間がヒューマライズに戦闘を教えるってことか?」
「はい。戦闘特化型ヒューマライズは、製造段階で基本的な戦闘ができるプログラムは組まれますが、更に高度な戦闘能力を身につけるために“育成師”と呼ばれる人間の下で戦闘訓練を受けます」
「でも、人間にヒューマライズのような戦闘は無理って……」
「彼らは特別です。戦闘に関しては、規格外の存在です」
「……俺たち今からすごい人に会おうとしてるんだな」
ロキは、少し緊張し始めた。
と、そこへ買い物から帰ってきた吾郎が現れた。
「おお、お嬢ちゃん来たかね。そっちの兄ちゃんは、あの時運ばれてきたあの兄ちゃんじゃな?」
声がした方に振り向くロキ。
「っあ、はい! ロキと言います。こっちはレンです。えっと……、レンはヒューマライズです。……式神吾郎さん……ですよね?」
突然現れた吾郎に驚き、慌て自己紹介をするロキ。
「そう緊張すること無いわい。もっと気楽に話せば良い。そうじゃのう……、“ゴローじい”とでも呼んでおくれ」
「え? じゃあ……ゴローじい、あの、その節はありがとうございました。お金、必ずお返しします」
「まあまあ、立ち話も何じゃし、中に入りなされ」
そして、家の中に案内された二人。
「さて、まずロキ君、怪我が治って何よりじゃ。あの怪我から三日足らずで完治するとは驚きじゃ」
「はい、おかげさまで。でも、どうお礼をしたらいいかと……。お金返すだけでは申し訳ないし」
「いや、ワシが勝手にした事じゃ。こうしてわざわざ出向いてくれただけで十分じゃよ。……それでも、どうしてもお礼がしたいと言うのであれば、そっちのレンちゃんと一度手合わせ願えんかの?」
「え? 手合わせ……ですか?」
「事情を聞かせてもらったが、賊に襲われ、それをレンちゃんが一掃したとか……。しかし、お見受けするにレンちゃんは、生活支援型の様じゃ」
「は、はあ」
「緊急時に戦闘はできたとしても、生活支援型の戦闘能力が複数の賊を一掃できる程とは思えん。生活支援型が賊の大群を一掃した力、興味があるのう」
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