第六十九話 空港のある町へ
ロザンヌを目指すロキとレン。ロザンヌへは海を越える必要がある為、二人は空港のある町、ニースへ向う事にした。
道中ロキは、レンが吾郎を“お父さん”と呼んだ事を気にしていた。
「なぁレン、ゴローじいの事だけど……“お父さん”って呼んでたよな?」
「え? ダメだったかな?」
「いや、ダメではないと思うけど……、突然だったから」
「あはっ! どうしたの、ロキ? なんか不安そうな顔して」
「え? 俺、そんな顔してた?」
「うん、してた。あー、ひょっとして私がゴローじいとの別れを引きずると思って心配してる?」
「ん? ま、まぁそんなところかな……」
「大丈夫。前にも言ったけどヒューマライズに感情は無いから。まぁ、ロキらしい心配だけどね~」
「お前なぁ……」
なんとか誤魔化し切ったロキだが、不安の理由は当然、レンにソアラの人格が戻ってしまったのでは? という事であった。しかしそれもどうやらロキの思い過ごしのようだ。
――
やがて二人はニースに到着した。
「うわぁー、賑やかな町だなぁー! というより、なんか娯楽施設が多くないか?」
「ロキはこういう町は初めてだもんね! でもこのニースのような町のほうが世界には多いんだよ。リトルリヴェールのような町が寧ろ珍しいくらい」
「ふーん。でも俺はリトルリヴェールのほうが好きだな」
「うん、私も同感」
「まぁでも、これだけ広ければ働き口も沢山あるだろ。なんとかして航空券代だけでも稼がない事には始まらないからな」
「まさかロキ、自分で稼ぐつもり?」
「そりゃもちろん!」
「うーん、たぶんこの町で人間が働ける場所は中々無いと思うけどな~」
「でもこんだけ店も娯楽施設も多いんならどこか一件くらい雇ってくれるとこありそうじゃないか?」
「なら試しにそこのお店に入ってみれば分かると思うよ」
二人は近くにあった食品販売店に入った。
「あの、すいません……」
レンの言葉の意味を推測したロキが店員の目をじっと見つめると、店員の目が赤くなった。
「……あの、ここの店員さんって皆ヒューマライズなんですか?」
「ええ、そうですが。どうかなされました?」
「あ、いや、大丈夫です。ありがとうございました」
振り返り、店を出る二人。
「あれはつまり、主人の代わりにヒューマライズが働いてるって事……だよな」
「店員さんだけじゃないよ。お客さんもほとんどヒューマライズだと思うよ」
「それって、買い物までヒューマライズ任せって事? じゃあ人間は何してるんだよ」
「遊んでるんじゃないかな。ほら、娯楽施設いっぱいだったでしょ?」
「……世界のほとんどの人たちがそんなんなんだよな……」
「そうだね」
「……酷いな」
「……そう? 普通だよ」
そこに一人の男が話しかけてきた。
「お姉~さん!」
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