第六十七話 吾郎の誕生日
「そこまで!!……ロキ1609個、レン852個……勝者ロキ!!」
「ふっふっふ! まだまだだな~レン!」
「ロキ、油断は禁物じゃぞ。レンは、昨日より20個多く割ったのに対して、お前は10個減っておる」
「ぷぷっ! だってさ!」
「うっ!」
玉割り対決の結果はロキの圧勝。修行は120日目。
ロキの強さはレンを上回っていた。レンの会話能力も格段に上達し、三人の関係も遠慮のない親密なものとなっていた。
――20日前
「っう!!」
「へへっ! 俺の勝ちだな!」
「勝負あり!! 勝者ロキ!……ロキ、頑張ったな! ようやった!!」
「ゴローじいのおかげだよ。ホントにありがとう!」
「いや、ワシは手助けしたに過ぎんよ。それと……レンも、よう頑張った! 出会った頃とは見違えるくらい強ぉーなった!」
「ふふっ! ありがと、ゴローじい!……それにしても、ロキが本当にこんなに強くなるなんてね!」
「正直、自分でも驚いてるよ! まぁでも、何はともあれ、これで俺が死なない限りレンの破棄も無くなった訳だ! 改めて、これからもよろしくな、レン!」
「こちらこそ!」
――現在
「さて、じゃあ今日はここらで切り上げるとしようかのう。ワシは用があって出掛けるが、晩までには戻る。悪いが飯の支度だけしといてもらえんかの?」
「了解!」
暫くして吾郎は出掛けていった。
「いってらっしゃ~い!」
吾郎を見送り、互いに目で合図を送り頷くロキとレン。実は今日は吾郎の誕生日なのだ。ひょんな事からそれを知ったロキ。吾郎が出かけると聞いた昨日、内緒で誕生会を決行しようと計画をしていた。
「よし! レン、そんなに時間も無い。急いで買い出し行って、そのあと会場作りだ。お前は食材の買出しを頼む。俺は、パーティーグッズを買ってくる」
「OK! じゃ、またあとで!」
打ち合わせを終えると二人は手分けして準備に取り掛かった。
――そして夕方……
「ただいま~」
ガチャッ……
パンッ! パンッ!
「な、なんじゃ!?」
「ゴローじい、誕生日おめでとーー!!」
サプライズは成功。意表を突かれ、驚く吾郎に二人がお祝いの言葉を掛けた。
「た、誕生日!?」
「だって今日はゴローじいの誕生日でしょ?」
「……誕生日……そうか……」
――30数年前
パンッ! パンッ!
「お父さん、誕生日おめでとーー!!」
「おおっ! こりゃまた豪勢だなぁー! 二人で作ったのか!?」
「へへんっ! どんなもんよ! お姉ちゃんと二人で頑張ったんだから!」
「さあ、お父さん! どうぞ召し上がれ!」
「お! それじゃあ冷めない内に、いっただっきま~す!」
――
「どうしたの、ゴローじい?」
「ははっ……いや、ワシも年を取ったもんじゃな。二人とも……ありがとうな!」
「へへっ! さあ、ゴローじい食べてくれ! 一応レンと二人で腕によりをかけたつもり! でもまあ、ゴローじいの味には敵わないだろうけどね~」
「いや、そんな事はない。こりゃうまそうじゃ!……はむっ! うん!! うまい!! はむっ! うん!! こっちもうまい!!」
「もう! ゴローじい! 立ち食いなんて行儀悪いよ!」
「ん?」
「ぷっ! ゴローじい、ハムスターみたいな顔!」
「あはっ! ホントッ!」
「師匠を小動物扱いするとは何事じゃ!」
「あはははは……――」
大笑いの三人。和気藹々とした雰囲気で会は盛り上がった。
そしてそんな楽しい時間も終わりが近づいていた。
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