第六話 病院にて②
病室に入ると、治療を終えベッドに横たわるロキの姿があった。
「ロキ! 大丈夫ですか?」
声のする方に目をやるロキ。
「おう! レンか。すまん! 俺、途中で意識失ってたんだな。でも、もう大丈夫だ」
そこには、予想以上に元気そうなロキがいた。そして立ち上がろうとする。
……が、
「うっ……!!」
すかさず医師がロキを止める。
「ロキさん、無茶です! あの出血量です。輸血をしたとはいえ、足の骨……いえ、全身至る所の骨が折れてるんです。立つなんて無理です。こんなに早く会話ができるまで回復したことには驚きましたが、暫くは入院してもらいます」
「入院!? ダメです! 俺らお金なくて、入院は無理です。この治療費だってどう支払ったらいいか……」
老人の申し出を知らないロキは、支払いが心配だった。
「そうは言っても、その怪我では……」
そこにレンが割って入る。
「あのー、支払いなら大丈夫です」
レンは事情を説明した。
話を聞いたロキは唖然とする。
「……お礼を言いたいけど、そんなご厚意に甘えてしまっていいのかな。……ともかく、歩けるようになったら一度その人に会いに行こう」
「はい、そうしましょう」
「……それとレンも、ありがとな。看護師さん、すいません。レンに着替えとか貸してもらえますか?」
「はい、勿論です。あ、よろしければシャワー室もありますので使って下さい」
「ありがとうございます」
こうして一先ず無事に治療を終えたロキ。
そしてレンも、ロキと共に病室に泊まることになった。
――翌日
レンが目を覚ますと、ベッドにロキの姿はなかった。
ふと窓の方に目をやると、窓際に立って外を眺めているロキの姿があった。
「ロキ!」
レンが思わず声を出す。
「ん? おお、レン、おはよー!」
「お、おはようございます。ロキ、足は……?」
「ああ、目が覚めたら昨日ほど痛みが無かったから、試しに立ってみたらこの通り。少しくらいなら歩くこともできた。まだ多少痛みはあるけど」
「すごい回復力です! 待っててください。今先生を呼んできますから」
そして、担当医の診察を受けるロキ。
すると、驚くことに折れていた足の骨が既にくっついている事が分かった。
更に、出血が酷かった傷口も擦り傷程度と言えるまでに回復していた。
担当医もその驚異的な回復力に驚くばかりだった。
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