第五十九話 覚醒
「うわぁぁぁーー!! くそったれーー!!!!」
吾郎は、怒り、悲しみ……そんな感情をぶつけるかのように攻撃を繰り返した。しかしそれらはことごとく空を切る。
「ふふっ、どうしました? 攻撃に先程までの正確さがありませんよ? そんな力任せの攻撃繰り返したところでっ……がふっ!!」
吾郎の攻撃をかわし続けていた斑鳩が突然吹っ飛んだ。
吾郎にも一瞬、何が起きたか分からなかったが、横を見るとそこにソアラがいた。
しかしその気配はいつものソアラのものではない。そう、それはレヴェイだ。この空間全てを支配仕切る程途轍もなく大きな力を感じるが、明らかに冷静さを欠いている。
そしてその力はソアラの体をも崩壊させている。力をまるでコントロールできていない。今の一撃で腕の骨折はおろか、全身の血管が切れ、血が流れている。
「許さない!! よくも……よくもーーー!!」
ソアラの手に光が集まる。たった一度見ただけで覚えてしまったというのか……、あれほど高度な技を真似るソアラ。しかしそこに感じる圧倒的な力は先程の新のそれとは比べ物にならない。
「やめろ、ソアラ!! そんなもの撃ったら奴は死んでしまう!! お前が罪を犯す必要はない!!」
「いやだ!! お母さんの仇を討つ!! あいつらさえ来なければ……あいつらさえ来なければお母さんはーーー!!」
「待て!! ダメだ!!」
しかし、吾郎の制止も虚しく槍は放たれた。
「(……斑鳩さんが……死ぬ?) 斑鳩さん!! 避けてくれー!!」
未だ立ち上げれない新が叫ぶ。
「(くっ! セキュリティーレベル5はやはり、カルマ・アステロイド並の器を持つというわけか……。私一人ではどうにもならんな……)」
ソアラの桁外れの力を前に、死を悟る斑鳩。
そして……
ザシュッッッ!!
「!! 何だと……?」
「ぐっ! がはっ!!」
吾郎は、咄嗟に斑鳩を庇った。どうにか息はある。だが、いつまで保つか……。それほどの深手を負ってしまった。
「お……お父ーーーさん!!」
ソアラが叫ぶ。
「貴様……、何故?」
「逃げろ……私は、あの子に……人を殺して……ほしくない!!」
「お父さん!!」
ソラを抱えながらノアが吾郎に駆け寄った。
「いや……なんで……? なんでこんな…………こんなのいやぁぁぁーー!!!!」
「ノア……大丈夫。お父さんは……死なない」
そこにソアラも駆け寄る。
「お父さん!! わ、わたし……何て事……ああ……ああ!!」
「お姉ちゃーーん!!」
思わずソアラに抱きつくノア。
「……新、帰るぞ。あの傷だ。式神は直死ぬ。」
「し、しかし、やつは恐らく娘に主の権利の譲渡を……」
「……やつはレヴェイになり、既にあれほど長い時間行動しているのだぞ。その意味も忘れたか、戯けが。それに加え、その有様のお前にこれ以上何ができる?」
「くっ……! 申し訳ありません……」
立ち上がれない新を抱えると、斑鳩はその場を後にした。
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