第五十七話 謝りたい事
ドサ……
「え!?」
「お……、お母さーーん!!!!」
瞬間、ソラがソアラを押し出した。
真面に食らった……。
光の槍の消滅と同時にソラの体から大量の血が吹き出る。
「ちっ! 猫に当たったか。 まあいいさ、もう一発お見舞いするだけ……うっ!!」
更に攻撃しようと構える新に吾郎が攻撃を仕掛けた。
しかし、その拳が新の顔を捉える寸前で斑鳩に止められた。
だが吾郎の殺気を近距離で真面に受けた新は、もう立ち上がれない。
「あ゛あ゛……」
「新、もういい。下がれ」
「す、すみ……ません……」
「お……母さん?……いや……」
膝から崩れ落ちるノア。一方、自分のエネルギーを分け与え治療を試みるソアラ。
「うっ、……ソアラ……もう……いいわ。この傷じゃ……もう……」
「お母さん、喋らないで」
「……やめて……あな……たが、保たない……わ」
「ダメ!! お姉ちゃん頑張って! お願い……お母さんを助けて!!」
「当たり前!! 絶対助ける!!」
「ノ……ア、ごめ……んね。お母……さんの……読みが……甘かった……みたい……。怪我……ない?」
「無いよ!! 無いからもう喋っちゃダメだって!!」
泣きじゃくるノア。
「ノア……、泣かないの……。お父さんと……約束……してたじゃない?」
「だって、……だってお母さんがぁぁーー!!」
「はぁはぁ……、血が止まらない……」
息が切れ始めるソアラ。
「ソアラ……お願い……もうやめて……。あなたまで倒れたら……」
「いやだ!! やめない!!」
その様子を見てノアが動き出す。
「お姉ちゃん! 私が傷口押さえるから、そこに集中させて!! お母さん、ちょっと我慢してよ!!」
「ああっ!!……ノア……お母さん、……お姉ちゃんに謝らなきゃ……いけない事が……あるの……。だけどそれは……あなたには……受け入れがたい……事かも……しれない……それでも……聞ける?」
「お母さん!! 私は謝ってもらう事なんて無い!! だからもうこれ以上体力使うのやめて!! お願い!! 死んじゃうって!!」
叫ぶソアラ。
「ごめんね……ソアラ、……あなたのくれた力を……私のわがままに……使っちゃって……でも、私はもう……助からない。最後に……あなたのくれた力で……謝りたい」
「お母さん!! 最後じゃない! 諦めちゃダメ!」
しかし、直接傷口を手で押さえたノアは血まみれで分かり難かった傷口が想像を絶するものである事に気づいていた。
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