第五十五話 一人では無理でも
懇親の力での攻撃だったが、その拳は一本の指で止められてしまった。
「くっ!!」
「バカ!! ソアラ来るな!!」
「おやおや、すっかり娘気分だ……。新、相手をしてやれ。……壊すんじゃないぞ!」
「了ー解です! さあ、来いよ! お人形ちゃん」
「お姉ちゃん! 私も一緒に戦うよ!」
「ソアラ、私もサポートするわ」
ソアラのサポートにノアとソラが加わる。
「お母さん! ノア! うん、ありがと!」
「かははははー!! お母さん? 猫だぜ? それ。まあ、大昔の東洋に“猫の手も借りたい”なんて言葉があったらしいが、まさにその通りだな! でも、いいぜ! まとめて相手してやるよ!」
「くっ! やめろ! 相手は私だ!!」
三人の方に向かおうとする吾郎。しかし、斑鳩が立ち塞がる。
「おっと! あなたの相手は私がします。流石に新にあなたの相手は務まりませんからね」
「(くそっ! こいつをなんとかしなければ返って皆を危険にさらす事になる……。それまでなんとか堪えてくれ三人とも!)」
――
「二人とも、よく聞いて。私の見立てでは正直三人でも力ではあいつに劣ってるわ。私があいつの気を引き付けるから、あなたたち隙を見て攻撃を仕掛けてちょうだい。」
「でも、お母さん一人で大丈夫?」
「大丈夫。動体視力と身のこなしなら自信あるから。それに仮に私の攻撃が通ったところであいつにダメージを与えられるとは思えない。でもあなたたち二人なら可能性はある。この三人であいつを倒すにはこの作戦がベストよ。」
「……うん。分かった」
「じゃ、行くわよ!」
ソラが猫ではないという事を新に気付かれない様、小声で作戦を立てる三人。
そして、作戦通りソラが新に突進する。
「ん? 早ぇーな? こいつ、研究所で強化実験に使われた擬似生命体の類か? だが、その程度じゃ遅すぎるぜ!」
ソラの動きを見極め、首を掴もうとする新。しかし、ソラは更にそれを見極めた。瞬時に速度を上げ、背後に回った。
「っ! くっ……! 猫ごときが!!」
苛立ち、振り返る新。その瞬間、隙をつくタイミングでノアが攻撃を仕掛けていた。
「っ!! ちっ! 危ね……ぐふっ!」
ノアの攻撃がかわされるも、そのタイミングでソアラの攻撃が決まり、新が激しく吹き飛ぶ。
「ナイスコンビネーション、二人とも!!」
「よし! いける! ね、お姉ちゃん!」
「うん! 三人ならいけそう!」
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