第二十六話 キャンプへ行こう
レミーが式神家の一員となって3ヶ月が経ち、季節は夏を迎えていた。
ノアは献身的にレミーの世話をしていた。約束だからという様子では無く、まるで妹でもできたかのように可愛がっていた。
ソアラもノアと一緒にレミーの世話をしている。そして驚いた事にレミーの鳴き声を判別し言葉に置き換える能力を身に付けていた。
レミーもすっかり元気になり、家中を大暴れするようなおてんばな猫になっていた。世話役のノアとソアラもそんなレミーに手を焼いていた。そして何故か吾郎の頭の上がお気に入りらしく、隙を見せると頭の上に乗ってくる。変な猫だと言いつつもどこか憎めない様子の吾郎。やっぱり可愛いと思ってしまうのだ。
そんなこんなでレミーはいつしか式神家のアイドルになっていた。
――
「んニャ~~!」
「……なあソアラ、この頭の上の姫様は何て?」
「ここが一番落ち着くって言ってるよ」
「ははは……、姫に喜んでもらえて光栄です」
「ぷっ! レミー、姫様だってー!」
「ふふっ! あっ! ねぇねぇノア、今日はレミーのお風呂の日だったよね?」
「あっ、そうだった! よし、じゃあ早速やっちゃいますか! 」
そう言ってレミーを捕まえようとするノア。
いつもなら逃げる事など無いレミーだが、嫌な予感を察知して慌てて吾郎の頭から飛び降り、一目散に庭の方へ逃げて行った。
「おっと! あ~あ、レミーは風呂が苦手だからなぁ……」
「あ! レミー待てー!! こらーー!!」
逃げるレミーをノアが追いかける。
「ノア待って!」
そのノアを追ってソアラも走って行った。
献身的に世話をする二人。その様子を嬉しく思っていた吾郎は、何かご褒美をと考えてた。
そして、レミーを洗い終えて戻ってきた二人に、吾郎はある提案をした。
「なあ二人とも、ノアの幼稚園も夏休みだし、レミーも連れて皆で旅行でも行かないか?」
「行く行く~!! 旅行だってー! お姉ちゃん!」
「うん! ありがとう、お父さん!」
「二人ともレミーの世話をちゃんとやってくれてるからな! そのご褒美だ!」
「お父さん! どこ行くのどこ行くの?」
「ん~? まあ、レミーもいる事だし、自然に触れられる場所がいいと思ってな。キャンプなんかどうだろう」
「きゃんぷって?」
「あー……えっと、キャンプってのは、外でご飯食べたり、川で泳いだり、夜はテントで寝たり、そんな感じだな!」
キャンプを知らないノアにも分かるよう説明をする吾郎。
「楽しそー! きゃんぷ行こー!!」
「私もキャンプ賛成! それにレミーもほら……」
「ふにゃーあ!」
「“川なら魚が食べ放題!”って喜んでるし」
「よし! そしたら準備ができたら出かけようか!」
「はーい!」
――
やがて準備が整った。
「せーの……、しゅっぱ~つ!」
和気藹々とした雰囲気の中、初めての家族旅行は始まった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
もし少しでも、面白い! 続きが読みたい! と思っていただけましたら、
ブックマーク、評価をお願できましたら幸いです。
とても励みになります。




