第二十一話 ソアラVSノア
「さぁ、休憩も終わり! そろそろ稽古に戻ろうか」
「よーし、今日もがんばるぞー!」
ノアが意気込む。
「え? お父さん。ノアも稽古するの?」
「ああ、そうだよ」
実はノアも土曜日は稽古に参加している。ノアは吾郎の血を継いでいる為、通常の人間より大きな力を持っている。ところが幼いノアは、力のコントロールがうまくできない。その為、感情に任せて幼稚園で喧嘩などしてしまえば、相手の子は怪我では済まない。稽古は、そんなノアに力のコントロールを学ばせる為のものなのだ。
「ねぇ、お父さん! 今日はどんな稽古? こないだの逃げる球割るのおもしろかったから今日もあれがいい!」
「あれはまた今度な! 今日は、お姉ちゃんと組み手やってみないか?」
「え? お姉ちゃんと? でもお父さんいつも喧嘩はダメってゆーのに……」
「組み手は喧嘩とは違うぞ。ちゃんとルールがあるからな」
「お父さん、ノアの相手ってこの事?」
「ああ、やってみてくれないか?」
「でも私は正当防衛以外の目的で戦闘は……」
「まあ、そこはお父さんに任せなさい」
何か考えが有りそうな吾郎。しかし、ソアラの心配はそれだけではなかった。
「で、でも子供のノア相手に私の力で戦闘なんてやったら、大怪我しちゃうよ!」
その言葉を聞いたノアが横から不満そうに割って入った。
「お姉ちゃん、もしかしてノアのこと弱いと思ってる? お姉ちゃんこそ戦いできるの?」
「え?」
「まあ、ノアもこう言ってる事だ。とりあえず、全力でやってみてくれないか。」
「ぜ、全力!? う、うん、分かった。育成師のお父さんがそう言うなら」
「よし、決まりだな! ノアもいいな! いくぞー!」
「うん! 負けないよ!」
「それでは、相手の攻撃で尻餅を突くかギブアップをするか、どちらかで負けだ! よーい……」
互いに構える二人。
「始め!!」
「たぁぁぁー!!」
開始の合図と同時にノアが先手を取り、ソアラに蹴りかかった。しかしソアラは寸前でかわし、間合いを取りカウンターで連続技を繰り出す。
「(え? は、速いっ!)」
ソアラの連続技をかわしきれず、腕で防ぐノア。しかし、ソアラの動きを目で追い、負けじと2、3撃繰り出す。その攻撃はソアラの動きに合わせ的確に放たれる。かわしきれず食らってしまうソアラ。しかもソアラの予想以上にノアの打撃は重く、吹き飛ばされてしまった。
勝負を決めようと追い討ちをかけるノア。しかし、吹き飛ばされながらも着地を決めたソアラは一瞬の隙をつき、ノアの背後に周った。そのまま腕を絞め床に押さえ込んだ。
「いたた! ギ、ギブアップー!!」
「勝負あり!! 勝者ソアラ!」
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