第二百話 黄昏時の町外れ
――午後
「ふー、思った以上に大盛況だったね」
「ああ、今日一日でだいぶスキルアップした気がする」
「私もだ……。慣れないからか、戦闘訓練より疲れたよ」
「ふふっ! ショコラさんの口から疲れたなんて聞いたの初めてかも!」
「ははっ! そうだな、お前と出会ってから私もオランジュもなんとも言い表せぬ影響を受けている。そう感じるよ」
「お、俺は別に……」
「いや、以前のお前はソフィア様への想いを口にする事など無かっただろう。友達だとか家族だと言われて思わず声に出して喜んでいたのは、どこのどいつだ?」
「うっ……それは……」
「はははっ! うん、二人とも変わったよ。出会った頃はもう少し固い感じだったもん。まさかこうして二人と一緒にお料理する日が来るなんて夢にも思わなかった」
「レン、今日の晩ご飯は俺が作る。じい様を驚かせてやるんだ」
「おい、オランジュ、勝手に決めるな。同じ事を私も考えていたんだ」
「じゃあ、二人で作ったら?」
「むっ、仕方ない。ショコラ、足を引張るなよ」
「どの口が言う。そっくりそのまま返してやるよ」
そんなこんなで帰宅の途につく三人だった。
――道中
広い草原の前で立ち止まるレン。
「ん? どうしたレン?」
「うん、なんか誰かに呼ばれた気がして……」
「……?? 誰も居ないぞ」
「私達でもないし……」
「でも確かに声が……。二人とも先に帰ってて。私、少ししたら帰るから」
「あんまり遅くなるなよ。じい様が心配する」
「うん」
そして、一人残ったレンは声の正体を探ろうと草原の方へ向かう。
「あ……。ここ……ロキと出会った場所だ……。なんで今の今まで気が付かなかったんだろう」
更に奥へ歩いていくレン。
「……やっぱり声は気のせいだったのかな……。ロキが呼んだのかも!……なんちゃって……」
振り返るレン。
「……そうそう、この辺りでロキが寝てたんだ。で、私が追いかけてきて、起こさないように横に寝たんだった。……ふふっ、確かこんな感じで」
隣には誰もいないが、その場所であの日と同じように横になってみるレン。
やがてレンはそのまま眠ってしまった――
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