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第二話  二人旅

 あてもなく東へ向かう二人。

 道中、ロキはレンに質問を繰り返していた。


「なぁ、レン。俺の横で寝てたけど、ヒューマライズも人間と同じように寝るんだな。他には、ご飯食べたりもするの?」


 質問に答えるレン。


「はい、ヒューマライズは遺伝子が人工的な物である事以外、体の構造は人間と変わりはありませんから、エネルギー源は食物で、寝る事で体力を回復します」


「へー、人間と変わらないんだな。俺は、てっきり電池入れ替えたり、充電したりとかして、レンが電池切れで動かないー! なんて事があるのかとちょっと心配したよ(笑)」


 ヒューマライズの説明を受けたとき、冗談も分からないのかと揶揄われたロキは、冗談くらい言えるとアピールをした。


「でも、空腹が続くと……そうですね、一日5食ほど食事をしないと動かなくなります」


「え!? 5食も!?」


「冗談です。そんなに食べません」


「うっ……、(か、勝てん。)お前、頭いいのな……」


「は、はあ、優秀なプログラムが搭載されていますので、それなりには……」


「自分で言うなよな……」


 なんだかんだで、楽しそうな二人。


「それにしても淡々とはしてるものの会話はできるし、見た目は人間、生活習慣まで人間と同じだなんて、他のヒューマライズに出会っても見分けがつかないだろうなぁ。なんか見分け方とかあったら教えてくれよ」


 暫しの沈黙……。


「ロキ、私の目を暫く見てください」


 突然のレンの発言に戸惑うロキ。


「えぇぇ!? なんだよ突然!」


 戸惑いながらも、じっと目を見つめた。

 するとレンの目が赤く染まった。


 それを見たロキは、驚きを隠せない。


「なな、なんだー!? なんなんだ、その赤い目は?」


「ヒューマライズの特徴の一つです。こうして目を見つめれば人間との違いが分かります」


 ロキの疑問を分かり易く解決したレン。


「突然何をやらされるかと思ったら、そういうことか。ビックリしたけど、そ、そうやって見分ければいいんだな!」


 平然を装いながら、真っ赤な顔のロキ。


「ロキ……、顔が赤いですよ。私の顔を見つめて、照れてます?」


「う゛っ! そ、そうだよ! 恥ずかしい事言わせるなよ……」


「大丈夫です。美形の異性に照れるのは極々自然な事です」


「自分で美形とか言うなよな……(まあ、美形だけども)」


「自身の優位性を述べたのではありません。ヒューマライズは例外なく美形です。私のような、“生活支援型ヒューマライズ”は、あるじの子供や恋人などになり、癒しとなるのが主な役目ですので特にその様な造形になっています」


「……そ、そう」


「ロキからは、どの立場で接すればいいか命令は無いままでしたが、ロキの年齢を元に、恋人として接することが妥当と判断しました。結果、ロキが私を異性と意識して照れてくれるなら、私はこのままロキの恋人になります。それとも、子供の姿で娘の方がいいですか?」


 どうやら、“生活支援型”と呼ばれるタイプのヒューマライズを所有する者の多くは、彼らを自分の子供や恋人のように扱い、心を癒すといった使い方をするようだ。

 しかし、成り行きでレンを買うことになったロキは、返す言葉に困った。


 ロキは、一瞬詰まらせながらレンに言葉を返す。


「……レン、お前は確かに可愛い。人間じゃないって言われても、あんなに近くで目を合わせたらドキドキした。でも俺は命令とか従えるとかじゃなくて、せっかく何かの縁で一緒に旅することになったんだから、同じ人間としてお前と接したい。だから両思いでもないのに恋人はおかしい。……かといって子連れってのもなぁ」


 頭を掻きながら困った様子のロキ。


「……では、破棄ですか?」


「バカ言え! それは絶対しない! んー……なら、“仲間”って事でどうだろう」


「仲間……ですか?」


「そう、持ちつ持たれつお互い様って関係!」


「でも、それでは私がロキの負担になってしまうことがあってもいいと言ってるように思えますが、それはヒューマライズとしては、どうかと……」


「それでいいよ。いや、それがいい。まぁ、この世界の事、何も記憶に無いから俺が迷惑かける事のほうが多いだろうな。けど、お前が困ったときには俺だって力になりたい。一方的なのは、不公平だし。って事でよろしく頼むよ!」


「……分かりました。ロキの命令ならそうします」


「そうそう、その“命令”ってのもやめよう。そうだな、……うーん、“お願い”ってとこだな」


「フフッ、了解です」


「あ、今笑っただろ? てかお前、笑えるじゃん!」


「ロキがあまりにもお人好しなので、プログラムが反応しました」


「ぐっ、ま、まあ褒め言葉と捉えとくよ……」


 服従心の強いレンの態度に多少の戸惑いはあるものの、レンの笑った顔を見て、なんとかうまくやっていけそうな予感も感じ始めるロキであった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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