第百九十九話 変化の兆し
ソフィアが旅立って数日後
――リトルリヴェール
「あ、ソフィアちゃんだ! ねえ! スフィアにソフィアちゃん映ってるよ!」
「ソ、ソフィア様~~!!」
「あんなに大勢の被災者達の救援指揮を執ってらしゃる……。ご立派です!!」
「(約束への一歩……、無事に踏み出せたようじゃの)」
静かににっこりと笑う吾郎。
「ねえ、お父さん! 私もソフィアちゃんみたいに料理でみんなを笑顔にしてみたい!」
「……そうか。また、旅に出るんだな。寂しくなるが仕方が……――」
「ううん、私はここを離れるつもりは無いよ。せっかく帰ってきたんだから。……だからここを拠点にまずは近くの町から」
「レン、俺たちも連れて行ってくれないか。料理の腕ではまだ足を引張るだろうが、やってみたい」
「私からもお願いだ。ソフィア様がお料理の修行をしろとおっしゃったのはきっとこの為」
「オランジュさん、ショコラさん……。うん! 一緒に行こう!」
――リトルリヴェール隣町
「ふー、着いた」
「この町にも被害は出ていないようだな」
「田舎って感じの町ね。この辺広いし適当に始めてみる?」
「そうだね。じゃあこの辺に露店を……」
隣町に着いたレンたちは早速店を構えようとした。
しかし、そこに町の保安隊のヒューマライズ達がやってきた。
「あなた達! 何を勝手な行動を! 店を構えるなら申請をして下さい。政府の許可無しに勝手な行動は許されません」
「あ、すいません。そういうのが必要なんですね……。えっと……どうすれば?」
「まずは申請書をご提出下さい。その審査に数日掛かります。承認が下りれば町の管理課の者が許可証をお渡しに参りますので、……――」
保安官の説明の途中で、オランジュが政府本部所属の紋章を見せる。
「こ、これは大変失礼いたしました。本部からの派遣のお方でしたか。本部の意向という事でしたらどうぞご自由にご利用下さい」
「はは、あ、ありがとう。じゃあ、ここ使うね」
「なあ、お前。ついでにここに人を集めてくれ」
「はい、承知しました」
クロッセルの映像の影響もあって広場には予想以上に多くの民衆が集まった。
最初は彼らにただ料理を提供するだけだったレン達だったが、当然人手も足りなくなり、町のヒューマライズたちにも協力を仰いだ。元々料理の基本能力が備わっているヒューマライズ達は、普段見慣れない調理道具なども何度か使う内に使えるようになり、レンの指示通りのレシピで作った料理は町の人々がこれまでに味わった事の無いようなモノになり、広場は笑顔と感動で溢れた。
やがて民衆の中から自分たちもヒューマライズと一緒にレンたちの料理を学びたいという声があがり出した。それは、かつての彼らならまず考えられない事であった。
恐らく、レンたちの行動だけでは人々の心をこれほど動かす事はできなかっただろう。それは紛れもなく、幸せに満ちた表情で食事をしていたクロッセルの人々の影響だった。
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