第百九十七話 被災地支援 その2
――
避難所に向かうソフィア。負傷者の救護に多くのヒューマライズが配備された事で、避難民の救援をするヒューマライズの人手が不足している様子だった。
「ううう……、もう諦めよう。死ぬしかない……」
「お腹が減った……もうダメだ……」
「もう……いや……動けない……いっそ死んで楽になりたい……」
ほとんどの者が無気力状態……。
そんな中、生を諦めず欲を満たそうとする者たちもいた。
「腹が減った! 誰か食べる物持ってこい!」
「はい、只今!!」
「このウスノロがぁ! 飯の支度もロクに出来んのか!! 破棄だ破棄! この欠陥品!」
「申し訳ございません。避難民の数に対して配給部隊として配備されておりますヒューマライズの数が少なく……。更には、食材も災害によって多くが失われた上、あれから数日が経過しており、底を尽きそうでして……。もう暫くお待ち下さい……」
生きようとする者たちも自らが行動するという意識は無く、ただただヒューマライズに罵声を浴びせるのみ……。
カオスと化した避難所。ソフィアが拡声器で声を掛ける。
「静まりなさい!!」
突然の大声に静まり返る民衆たち。
しかし次の瞬間、何人かが不機嫌そうな顔でソフィアの下に歩み寄った。
「おい、なんだガキ。何様のつもりだ? こちとら腹が減ってイライラしてんだ。舐めた真似してるとガキだからって容赦しねーぞ?」
「……何日もこんな状態でほったらかしてたのは悪かったと思う……。けど、もうちょっと協調性ってあってもいいと思うけど?」
「なんだ? ガキが大人に説教か? それに、ほったらかしてた? お前は俺の保護者かよっ! 舐めんじゃねーぞ!」
苛立った男が殴りかかって来た。
パシッ
その拳をいとも簡単に止めるソフィア。
「なっ!?」
「へへっ! めちゃくちゃ元気あるじゃん。あんた、第一料理班班長決定ね!」
「は?」
「何? 文句あるの?」
「ったりめーだ!! いきなり現れて訳の分からん事を! ガキのママゴトに付き合ってる状況じゃねーんだよ!!……おら! 後ろで見てる奴ら! 加勢しろ! このクソガキを黙らせるぞ!!」
「うおぉぉ――」
「はあ、めんどくさ……」
――数分後
「番号!!」
「いちっ!」
「にっ!」
「さんっ!」
「しっ!」
「ごっ!」
「ろくっ!」
「ななっ!」
「ソフィア様、グローサ料理班班長七名、位置に着きました!」
ボコボコの顔の男七人が料理班班長に任命されていた。
「ヒューマライズ達、こいつらに料理の指南してあげて。あと人集めも。私は町全体の被害状況を確認してくるから――」
半日ほど掛けて町全体の被害状況を確認したソフィアは、人命救助が最優先される地域にヒューマライズを再分配した。それにより、避難所での配給班にはやはり、人々の協力が不可欠な状況になっていった。
そして、各地に点々とある避難所を回り、元気そうな人間を選定しては歯向かえば殴り、料理部隊を結成していった。
そんなソフィアの働きもあり、各地で少しずつ食事の問題は解消していった。
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