第百九十五話 私のやり方
――ソートリオール
「ソフィア様! お帰りなさいませ!」
出迎えたのはソートリオールの役人たち、それに各地から集められていた上層階級の貴族たちだった。
「何日も留守にして悪かったわ。今日から私が指揮を執るわ。いいかしら?」
「当然でございます。ジャネクサス様の訃報を聞いた時はどうなる事かと思いましたが、あなた様がそのご意思をお継きになられるならば、私共もこの上なき……」
「あー、長い。言っとくけど、パパと私は違うからね。そのつもりで。……じゃあ、まず――」
ソフィアは、各地の被害状況を確認し、被害が大きい地域を中心に“死地救援型”のヒューマライズの派遣、数が足りない部分は“戦闘特化型”を代役として派遣する事を指示した。更に、個人が所有している“生活支援型”については、その主人に限らず各被災地域の被災者たちの救護と炊き出しを始めとする救援をするよう各地域の貴族たちに指示した。
「ソフィア様……そのような弱者に手を差し伸べるような事は、ジャネクサス様が最も避けていた事……」
「言ったでしょ! 私はパパとは違うって。それにパパはもういない。文句があるなら、私とやり合う? いつでも相手するけど?」
「め、滅相もございません……。直ちに各地に指示を出します」
「あ、それから、動ける人たちはヒューマライズと一緒に救護や配給をするようにも指示してね」
「貴族のあんた達! あんた達も参加するんだからね。あんた達が先陣切って動いてみんなを先導する事! いい?」
「は、はい! 承知いたしました!」
一通りの指示を終えたソフィアは、大広間を後にした。向かった先は、斑鳩の部屋だった。
――斑鳩の部屋
「斑鳩ちゃん……、あなたが託してくれた想い、必ず未来に繋げるよ。……パパ、私は諦めないからね。見てなさいよ」
決意を二人に告げるソフィア。……ふとキッチンの横の本棚に目をやると、斑鳩のレシピ本を見つけた。
手に取るソフィア。
「あ、レモンタルト……」
その一ページ目には、あのレモンタルトのレシピが書かれていた。
ニコッと笑うソフィア。
「斑鳩ちゃん、借りるね」
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