第百九十二話 新たな家族
戌の刻――
少し遅めの晩餐
「うわっ! すごいごちそう……」
「う~ん、いい匂い!」
「さて、それではレンの無事の帰還、それと新しい家族の加入を祝して……」
「ちょっ!!」
「な、なんじゃ?」
「新しい家族って私の事?」
「他に誰がおる?」
「……いいの? だって私、政府の人間だし……」
「じゃあ、ソフィアちゃんは私の妹ね。妹なら、この家に住むの普通でしょ?」
「な……妹ぉ!?」
真っ赤になるソフィア。内心、嬉しかったりしていた。
「なんじゃ? 顔が真っ赤じゃぞ?」
「う、うるさいわね! ま、まあレンがそこまで言うなら、なってあげようかな!」
「ふふっ! じゃあ、決まりね!」
「では改めて……新しい家族の加入を祝し……」
「ちょっと待って!」
「な、なんじゃ? まだ何かあるんか?」
「せっかくだから……」
そう言うと待機空間からショコラとオランジュが飛び出した。
「ソフィア様、お呼びで?」
「ん? ここは?」
「なな、なんじゃ!? 突然人が現れた!? い、いや……ヒューマライズ?」
「これは私の待機空間。二人はここの中で生活してる私の……と、友達」
「ソ、ソフィア様! 俺ら部下です。友達などもったいなき事!」
「ううん、もう部隊は無くなったわ。だから今日からは友達……って事でいい?」
「ソフィア様~~~!!」
感激する二人。
「じゃあ、お主たちも家族じゃな」
「あ、友達じゃなくて家族になったけどいい?」
「わ、私とソフィア様が家族!?」
「いや、ショコラ、お前だけじゃないぞ! 俺だってソフィア様の家族になったんだ!」
「はいはい、二人とも家族家族」
「ソフィア様~~~!!」
感激する二人。
「はっはっは! では、大勢増えた家族に!……かんぱ~い!!」
「かんぱ~い!!」
そして一同は食事を摂り始めた。
「うまっ! なにこれ!?」
「ソ、ソフィア様! これも美味しいです!」
「これも、……これも! ソフィア様! うまいです!」
「でしょ? ねえ、お父さん! 育成師引退したんなら料理人になったら?」
「それは、褒め過ぎじゃよ」
「めっちゃ照れてんじゃん。……あ、そうだ! おじいちゃん。ご飯食べたらノアの部屋見てもいい?」
「お、おじいちゃん……!?」
「なんで驚いてるの? あんた老人でしょ? おじいちゃんで合ってるよね?」
「いや、ソフィアちゃん……、驚いてるの、そこじゃないと思うよ?」
「ははっ! すまんな。突然だったからな。さっきまで“あんた”とかって呼ばれてたのが急に身近に感じてのう」
「あ、でも私、レンの妹になったんだから“おじいちゃん”はおかしいか」
「いや、わし等には血縁関係は無いし、ソフィアの年からしたらわしは十分おじいちゃんじゃ。ソフィアがレンの妹でわしの孫でもなんでもありじゃ。こうしてテーブルを囲んでみんなで食事を摂る。それだけでわし等は家族じゃよ。のう、ショコラにオランジュ」
「では、ソフィア様のおじい様、私たちは“じいさま”と呼ばせていただきます」
「じいさま、これもこれも全部うまいです!」
「まだまだあるからな。おかわり、遠慮するな」
「で、おじいちゃん! ノアの部屋は?」
「ああ、そうじゃったな。構わんぞ」
「やった!」
「よかったら、昔の写真もあるぞ。見るか?」
「あ、それ、私も見たい!」
――食後、昔の写真を見ながらの話は大いに盛り上がった。そしてこの日、ソフィア、ショコラ、オランジュが新たに家族に加わった事を記念して新しい一枚がアルバムに追加された。
やがて夜も深くなり、ソフィアはそのままノアの部屋に残り、そこで寝る事にした。
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