第百八十六話 この先は
――集会場
トトニスを見つけたレン。気づかれないようにゆっくりと後ろから近づく。
「トートニスちゃん！ あーそーぼ！」
そしていきなり声を掛けた。
「誰……？」
振り返るトトニス。
「え……、うそ……？」
「へへっ！ ご心配をお掛けしましたっ！」
ふざけて敬礼をするレン。
「レンちゃんっ!!!」
思わず抱きつくトトニス。
「レンちゃーーん!! おかえりーー!!」
「ただいま、トトニスちゃん」
「私の事……分かるんだね？」
「うん、一回全部忘れちゃったんだけど……無事、思い出しました！ ブイっ！」
「……ってちょっと幼く……なった？ さっきも、あそぼーって……」
「え？……そ、そうかな？……へへっ、まあそうかも。一回破棄されちゃったからね」
笑って語るレン。
「あ、そういえば、トトニスちゃん、足……」
「え？ あ、うん、もうすっかり慣れた。あの日、魔法みたいな力で治してくれたあの人にいつかお礼を言いに行きたい」
「あ、だったら私も一緒に行く」
「でも、どこにいるか分からなくて」
「どこかにいるよ！ 捜しに行こうよ！」
「……うん、そうだね！……ってロキ君は？ 一緒じゃないの？」
「…………」
「……え？」
「……うん、カルマが話してたよね」
「……そんな……」
「トトニスちゃん……」
大泣きするトトニスをレンが抱きしめる。
――
やがて朝日が昇り始める頃、二人はガルーダの丘の木の下にいた。
「……レンちゃんは強いね」
「え？……はははっ、何だろう？ カルマが集会所で語った直後は受け止めちゃって悲しくて悔しかったはずだったのに。……少し冷静になったら、自分で確かめてもないのにロキが死んだなんて思えなくなってきて。だって、私が最後に見たロキは政府の親玉相手に圧倒してたんだよ！ よく考えたら負けるはずないもん」
「……ごめん、私……バカだね」
「ううん、トトニスちゃんは優しいよ。すっごく」
「……ねえ、レンちゃんはこの先はどうするの？」
「……ロキと約束してたし、お父さんの所に戻ろうと思ってる」
「お父さんって？」
「あ、そうだね。式神吾郎って知ってる？」
「え？ 育成師の？……式神吾郎さんがレンちゃんのお父さんなんだ？」
「うん。まあ、ロキといた頃は“お父さん”って認識は無かったから“ゴローじい”なんて呼んでたんだけどね。私ね、今を含めて過去3回稼働してて、何が起きたかは分からないけど、今その全ての記憶があるんだ」
「え……？ そんな事が……？……そっかだから私の事も思い出したって」
「うん、理由は全く分からないんだけどラッキーだよね。……でね、最初のご主人がゴローじい……お父さんなんだ」
「そっか。……でも、ちょっと寂しいな。私はてっきりここに残ってくれるって思ってたから」
「また、すぐ遊びに来るよ。“トトニスちゃん！ あーそーぼ！”って」
「ははっ！ もう……」
――と、そこにソフィアがやってきた。
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