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第百八十一話  終焉の際

 斑鳩の気配が消滅した……――


「斑鳩……ちゃん……、うそ……うそだよ。やだよ……こんなの……やだ、……いやぁぁぁーーー!!!」


 嘆き叫ぶソフィア。その後ろではレンが静かに怒りに震えている。


 レンの頬には涙が流れ……そして、レヴェイと化した。


 そしてその瞬間、全ての記憶が統一された。今のレンの、ソアラの、そしてロキと旅をしていた頃のレンの、その全ての記憶が。


 同時に、爆発した力がその場の全てを支配している……。


 そうそれは、カルマをも凌駕するほど巨大なものとなっていた。

 ソフィアの下で力を得たレンの体は以前とは違い、その力にも壊れる事はなく力を保つ……。


「なんという力じゃ……。星丸ごと一つ程の質量が人ひとりの体に収まっているような力を感じる……。これは、想像以上……。カルマを軽く超えている……」


 たが、その敵意はカルマではなくジャネクサスに向けられ、そして……鉄槌を下す。


「許さない……。よくもソフィアちゃんを……ショコラさんを……オランジュさんを……、斑鳩さんをぉぉぉーーー!!!」


 怒りを爆発させたレン。一点に凝縮した一撃を放つ。

 その一撃でジャネクサスは絶命するほどのダメージを負った。


「がはっ!!!……はぁはぁ……」


 ……だが、かろうじて生きていた。


「た、耐えた……ぞ……」


 これこそがジャネクサスの最大の狙いであった。

 レンの覚醒の為の準備は、ソフィアにレンを託したその時から既に始まっていた。

 二人に信頼関係を築かせ、そして最後にソフィアを討つ事でレンの怒りを爆発させる。ここまでが彼の筋書だった……。


「はぁぁぁぁーーーーっ!!!」


 絶命しかけていたジャネクサスから、レンをも上回る程の力が溢れ出す。


 ジャネクサスが自らに施した能力“暴力への反逆”。それは強大な暴力を受けた時、それを上回る力を得る、一種の呪いであった……。


 その満ち溢れる殺意がカルマに向けられている事を察したレンは、カルマを守るように立ち塞がった。


「レン……記憶が……」


「カルマ……ここは母さんに任せなさい……ってカッコつけたいところだけど、あの力は支配仕切れない。一緒にやれる?」


「っ!!……母さん?……母さんなのか?」


「来るよっ!!」


 ジャネクサスの容赦のない攻撃は、その一撃目から絶命を狙う。

 先にも見せたものと同じ技だが、明らかに出力が増している。少しでも触れてしまえば、肉はおろか、骨さえも溶ける様な熱量だ。それを何とか躱す二人、そして瞬時に間合いを詰め、左右から同時に攻撃を仕掛ける。


 コンビネーションは抜群。……しかし、その攻撃は防がれ、まずはレンが蹴りで弾き飛ばされる。そしてカルマは、片足を捕まれ逆さ吊りにされる。そのままジャネクサスは、カルマの左胸に手を当て、逃げようのない射程から胸を貫こうとする。


「カルマーー!!!」


 しかし、レンが覚醒した流燕のスピードで再び間合いを詰め、ジャネクサスの腕に回転力を加えたカカト落としを浴びせ、カルマの救出に成功する。

 左右に分かれて間合いを取るレンとカルマ。全く余裕が無い。


 ジャネクサスが次に狙ったのはレン。無言で間髪入れずに仕掛けて来るその様子には一切の無駄が無い。今度はジャネクサスの方から間合いを一気に詰めて来た。

 放たれる拳一発にさえ、相手を絶命させる程の破壊力を秘めている。無防備で喰らってしまえばただでは済まない。


 だが、


 ドガっっ!!!


 ジャネクサスの攻撃が入る。

 受けたのはカルマだった。レンを庇った。

 最大出力の大防御で絶命は逃れたものの……、防いだ両腕は粉々に砕けている。


「っっうぐ!」


「カルマっ!!」


「……だ、大丈夫だ。……まだ、足がある」


 強がるカルマを抱えると、一旦距離を置くレン。


 しかしそこに容赦なく放たれる全方位への波動。揺らぎに煽られ、レンの手がカルマを放してしまう。


「しまっ……!!」


「トドメだ……」


 構えるジャネクサス。無防備なカルマ。


 だが、意地をみせるレンがジャネクサスに向かって飛び込んだ。


 しかし、その瞬間をジャネクサスは逃さなかった。図ったかのように攻撃対象をレンに切り替える。カルマがそれを庇うにはもう無理な距離……。


 死を覚悟するレン。


「か、母さん!!! 避げろぉぉぉーー!!!」


「(ごめん、カルマ……ここまでだ……。……ロキ……、あなたの事折角思い出したのに……、もう会えない……私は、あなたが――)」


「やめろぉぉーー!!!」


 ズキゥゥン……――

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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