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第十八話  今日から君は

「っ!! ソラ……」


 思わず声に出してしまったのは死んだ妻の名だった。なんと亡き妻と同じ顔をしたヒューマライズがそこに居たのだ。

 その様子を見て店員が吾郎に声をかけた。


「宜しければ、こちらの商品をお出ししましょうか?」


「え? は、はあ……お、お願いします」


 動揺し、言葉を噛みながらも思わず返事をしてしまった吾郎。

 店員がディスプレイシートを操作すると空間に二十歳前後の女性が転送されてきた。その姿は吾郎の亡き妻“ソラ”そのものだった。


「ソ、ソラだ……」


「ふふっ! お客様、ご購入前に名前を付けられてしまうなんて、よほどお気に召されたようですね!」


「あ、いや……。し、しかし私が買いたいのは5歳の娘のお姉ちゃんとしてなのでこの子では年が離れすぎでは?」


「大丈夫です。年齢は、お客様のご要望に応じて設定を変える事が可能です。ただし初回に限ります。以降、成長するかしないかもお選びいただけます」


「そ、そんな機能が?」


「ええ。こちらの機種は3世代ほど前の機種ですが、その機能は備わっています。どういたしますか?」


「……で、ではこの子をお願いします」


「かしこまりました。お買い上げありがとうございます」


 その後、ヒューマライズの少女は7歳前後の子供に姿を変えられた。そして吾郎はその子を連れて店を出た。

 帰り道、会話の無いまましばらく歩く二人。やがて少女のほうから吾郎に声をかけた。


「あの……、私はご主人をなんとお呼びすればよろしいでしょうか?」


「え?……ああ、……“お父さん”かな」


「はい、分かりました」


「よろしく……っとまだキミの名前が無かったな。……そうだな」


 名前を考えようとする吾郎だが、彼女の顔を見ているとどうしても妻の名前がちらついてしまう様子だ。


「“ソアラ”……なんてどうだ?」


「はい、わかりました」


「なぁ、ソアラ。キミは私の娘なんだからそんなにかしこまって話さなくてもいいんだぞ」


「あ……うん、へへっ!」


 少し照れた様子にも見えるソアラ。その仕草はまるで感情があるかのように自然なものだ。


「改めて、よろしく!ソアラ」


「うん! お父さん!」


 握手をする二人。

 こうして吾郎とノアの二人の生活にソアラが加わり、新たな生活が始まろうとしていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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