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第百七十三話  帰還

 ――数日前 ――ソートリオール


「……ソ、ソフィアちゃん、ただいま……。ちょっと、お水貰ってもいい?」


 フラフラのレン。なんとかここまで辿り着いたという感じだ。


「ちょっとレン! 何があったの!?……っと、水だったわね」


 レンに水を渡すソフィア。


「ぷは~! 生き返る~!」


「ねえ、レン、大丈夫……?」


「“こどおに”がいた」


「えっ!! うそ……。あいつがバッドエンドに……? もう永久に出られないじゃん……」


「ううん、脱走したよ」


「ちょっと待って……。て事は、あんたをここまでボロボロにしたのはこどおになの?」


「うん、そう。たぶん体力的には私の方が優ってたと思うんだけど、意志の力が何とかって言ってて……。で、そのあたりから苦戦しちゃった。一瞬負けるかもって焦ったけど……、なんとか勝ちました! ブイッ!」


「(今のレンをここまで追い詰めるなんて……、こどおにのやつ、以前とは比べ物にならない程腕を上げてる……)」


「ん? ソフィアちゃん?」


「こどおにのその後は、デュワロウェスク?」


「うん、眠らせて転送装置で転送したよ」


「……そう」


「……ソフィアちゃん、ごめんね。……お友達だったんでしょ?」


「あんなやつ友達なわけ無いじゃん!」


「そうなんだ。……でもなんかいい人そうだったよ。『お前を救いたい』とか『今の生活は幸せか』とか聞かれて、私はソフィアちゃんとの生活は楽しいよって答えた。……でも私の最終目的がカルマを倒す事だった言ったら悲しそうな顔してた」


「……こどおに……」


「なぁに、ソフィアちゃん? もしかして、好きなの?」


「バ、バカな事言わないで! アイツが好きなのはあんたよ……(あ、余計な事言っちゃった……。パパに怒られる……)」


「……え?……それじゃあ、すごく悲しかったのかも……。ちょっと、謝りたい……かな」


「いいのよ。そもそもアイツが捕まるような事したのが悪いんだから。脱走なんて以ての外。お手柄だわレン」


「へへっ、うん! ありがとう!」


「それより、こどおに相手に苦戦するなんて、まだまだカルマを倒すには力が足りないわ。これからもっともっと修行厳しくするからね」


「うん! 大丈夫! 私もっともっと強くなるよ」


 しかしこの数日後、緊急幹部会議が開かれ、思いがけず大きな決断が下される事になった――

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